コンタクトセンタの企業貢献には,顧客との良好な関係を構築し,顧客ロイヤルティ向上により企業の売上を維持・増加させるだけでなく,運用の効率化や生産性の向上により,運用コストを削減し,利益の最大化を図ることでも企業貢献が可能となる.売上の向上を担うコールセンタでも,企業の利益の最大化のためには運用の効率化は必要である.運用の効率化を行うためには,管理指標を活用した高度なマネージメント能力が必須となる.コールセンタの効率化のために,指標管理をどのように活用するべきか,事例をもとに解説を行う.

1.はじめに

 リーマンショック以降,世界的に長引く不況の影響は日本にまで及び,コンタクトセンタの環境にも大きな影響を与えることとなった.リーマンショック以前のコンタクトセンタは,顧客満足度や顧客ロイヤルティを向上させることが第1 目標であり,多くのコンタクトセンタでは,提供サービスの品質向上に向けた取り組みを積極的に推進していた.リーマンショック以降は,コンタクトセンタが置かれていた環境が一変し,多くのコンタクトセンタは,運用コストの削減や,運用の効率化を会社から強く求められるようになった.過去の事例を見ても,不況期になるとコンタクトセンタは,最初にコスト削減の対象部門とされてしまう.コンタクトセンタは顧客と企業の重要な接点であり,現在では社会的に重要なインフラの1つになっているにもかかわらず,なぜこのような状況が起こってしまうのであろうか.本論文では,その理由が,コンタクトセンタの運用が外部の関係者に対してブラックボックスとなっていることにあると仮定し,どのようにこれを解決するかについて考察する.

 この状況を打開し,ホワイトボックスとなる運用管理を実現するために,コンタクトセンタの運用状況を数値で論理的に説明できる各種指標を明確化し,運用の効率化を行う必要がある.本論文では筆者の経験を通じて,重要な指標の選定とその管理,またそれらの指標に基づいて実際に行った改善内容とその結果について紹介する.

2.経営貢献の重要性

 企業にとってコンタクトセンタは,顧客との直接接点であり,顧客に直接的にサービスを提供する組織である.コンタクトセンタの役割は,顧客との良好な関係を構築・維持し,顧客満足度の向上や,顧客ロイヤルティを形成し,企業のファンを増やすことである.しかし,企業内では,コンタクトセンタは顧客に直接サービスを提供する組織と認識されていても,コンタクトセンタの運用は社内リソースではなく,コストとして評価されてしまっている.その結果として,コンタクトセンタのアウトソーシング化が進み,その活用目的も変化している.図1に,アウトソーサの活用目的についての調査結果を示す[1][2].アウトソーサの活用目的については,2011年度では「対応品質の向上と平準化」と回答していたセンタが約4 割であったが,2013年度では約2割に減少してしまっている.他方,「人件費の削減」と回答しているセンタは,2011年度は4割であったが,2013年度では全体の5 割を超え増加している.この結果から,アウトソーサの活用目的が,顧客満足度の向上という目標から,コスト削減の目標に変化したことが分かる.また,「業務量の変動にフレキシブルに対応するため」と回答したセンタが7割もあることが分かった.

図1●アウトソーサを活用している理由

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