インターネット社会において,コールセンタは顧客,経営者の双方にとってますます重要なものとなる.顧客からは,インターネットでは対応できない事項をすばやく解決する窓口として期待される.他方,経営者は,新たな製品・サービスの創出や改善の糸口を掴むため,要望,指摘といった顧客の生の声が集まる情報の宝庫であることを期待する.問合せ対応という旧来のコールセンタの殻に閉じこもっていては,これらの期待に応え,その期待を越える心からの満足を届けることはできない.自らが進んでその殻を破り,培ってきたノウハウを活用できる場を求めてチャレンジし続けてゆくことが何より重要だと考える.このような考えに至った経緯を,筆者が運営するコールセンタでの事例を通じて紹介するとともに,問合せ対応という枠組みを超えたコールセンタの進化について考察する.

1.はじめに

 筆者が運営を統括するプラス(株)ジョインテックスカンパニーのコールセンタは,今でこそ顧客,経営者,そして外部評価機関より一定の評価をいただけるようになった.しかし,ここまでの道のりは平坦なものではなかった.コールセンタについては素人の集団が,それでもなんとか良いサービスを提供しようと,10年を超える試行錯誤を経てようやくたどり着いたものである.

 だからこそ,ここまでの道のりを整理することで,コールセンタが進むべき姿,あるいは,コールセンタが進化し続けてゆくためのカギとなるものを示すことができるのではないかと考える.

 ジョインテックスのコールセンタが今あるのは,多くの企業に学ぶ機会を授けていただいたからである.本論文が,これからコールセンタの立ち上げや改革を進める皆様のお役に立てることを願っている.

2.ジョインテックスの立ち上げとコールセンタの課題認識

2.1 ジョインテックスの概要

 プラス(株)と全国各地に基盤を持つ独立系の文具・事務機器卸10社とが共同で設立した新業態として,ジョインテックスは2001年5月より営業を開始した.扱う商材は,オフィスで必要となるあらゆるもの,文具,オフィス家具,PC用品,家電,飲料,食品などである.ジョインテックスの事業は,これら商材を全国の販売店に卸すだけのものではなく,図1に示すようなサービスを付加することで販売店の経営を包括的にサポートする競争支援業である.現在,コールセンタは図1の1)のみならず,2),3)についても深く関与している.その関与については経緯とともに第4章で記す.

図1●競争支援業を特色付ける主な業務
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