まさに地球規模で進むクラウドコンピューティング技術開発とサービス提供を踏まえ,その最前線で活躍する3人の技術者に集まっていただき,座談会形式で「世界に通用するクラウド技術開発の在り方と課題」について,自らの経験と今後への思いを語っていただいた.

後藤 今日は,日立製作所中央研究所の田中毅さん,NEC情報・ナレッジ研究所の千葉靖伸さん,それから電話会議経由で米国よりNTTの上野和風さんに集まっていただきました.クラウド技術開発の最前線でグローバルに活躍している3人の方にクラウドコンピューティングの今後の在り方,グローバルな技術開発や市場開拓の活動はどう進めるべきかについて語っていただきたいと思っています.

センサネットワークからビッグデータアプリケーションへ:田中氏

田中 毅氏
2005年日立製作所入社,中央研究所所属.センサネットワーク,ウェアラブルセンサ,ライフログの研究開発に従事.

田中 日立製作所中央研究所の田中です.私は入社9年目で,入社当初は無線とセンサネットワークの研究,特に低電力なセンサデバイスの研究,低電力無線の研究からセンサデバイスの開発をやってきました.センサネットワークの基盤技術の研究開発を2~3年やっている中で,データに新しい価値のあるウェアラブルセンサの研究に移ってきました.研究初期のセンサデバイスは,たとえば環境の温度や湿度などを数分に1回のレベルで収集するものだったのが,より緻密な電力制御によって,人の動きや脈拍等をワイヤレスにモニタリングしても,充電なしに2週間以上は動作する実用的な腕時計型デバイスを開発することができました.現状では,まだ世の中には人の生活や行動に関するデータは分散して存在していますが,長期間連続して一貫したデータがほとんどないと思います.異常検知などを目的として開発してきたセンサデバイスが,身に着けたセンサから日常的に詳細なデータを取れるようになり,蓄積されると,多方面で新しい研究が進み,発見があるということが分かってきて,それ以来ウェアラブルセンサの開発に注力してきました.

 センサから今度は,今はビッグデータと言われるようになりましたが,長期間の大規模な人の行動データを分析して,そこからヘルスケアや医療,またはオフィスや労働の現場での生産性や安全管理であったり,アプリケーションの開発や,そこで必要になる解析,分析技術の研究開発というところまで携わっております.

OpenFlowスイッチを世界へ:千葉氏

千葉靖伸氏
2008年日本電気(株)入社. SDN/OpenFlow ネットワークアーキテクチャ,ノード,制御技術の研究開発に従事.

千葉 NECの千葉と申します.米国資本の企業にて,IPルータ,スイッチやVoIPゲートウェイ装置などの開発,モバイルコアネットワーク,特にIMS(IP Multimedia Subsystem)のアプリケーションの研究開発に従事していました.2008年にNECへ入社し, OpenFlowやSDNのノード技術,コントローラ技術,ネットワークアーキテクチャ等の研究開発を行っています.研究と実用化の狭間を埋める仕事を得意としており,研究だけではない広い活動を行っています.研究寄りになったり実用化寄りになったり,行ったり来たりしながら技術的に事業化につなげるというところをやっています.
 最近では,NECにおけるSDN/OpenFlow製品群の実用化,OSSのOpenFlowコントローラ・スイッチ開発基盤Trema☆1の開発・公開,大規模データセンタにおけるSDN商用導入☆2などが主な成果です.

 クラウドサービスを実現するためのネットワーク基盤についての検討とか実用化をお客様と共同でやっており,いくつか実用化,サービスに使われているという事例が今出ています.

☆1 http://trema.github.io/trema/
☆2 http://www.biglobe.co.jp/en/press/2013/0422.html

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