当社が開発した金属3Dプリンタ「OPM250L」は,レーザ照射による積層造形と切削工具による除去加工を1台の機械に融合した複合加工機である.積層造形の特長を活かしつつ,課題であった加工精度と表面粗さの性能向上により,プラスチック用成形金型への適応を可能とした.「OPM250L」で造形した3次元冷却配管内蔵の金型を用いて,実際にプラスチック製品の成形を行い,ハイサイクル成形による生産性向上を実現した.

1.はじめに

 3Dプリンタは,従来のものづくりでは困難な(あるいは不可能な)3次元形状を造形できることから,部品単体での高機能化,新しい製造プロセスの確立,大幅な生産性向上などをもたらす革新的な装置として,大きな注目と期待を集めている.一方,5,000ドル以上の3Dプリンタの,2013年度出荷台数は世界規模で9,800台(米ウォーラーズ・アソシエイツ社レポート2014[1]より)程度と,さまざまな部品や製品への活用は始まったばかりであり,そのさらなる実践的な普及を推し進めていくためには,加工速度・加工精度の向上や低価格な材料・装置の開発などさまざまな課題を解決することが急務である.

 当社は,NC放電加工機を主力とする工作機械や射出成形機を市場に提供することで,微細・精密領域での,形状精度10µm以下・仕上げ表面粗さRa1µm以下をターゲットとする高精度・高品位なものづくりを支援してきた.今回,当社がこれまで培ってきた基盤技術を集大成し,精密部品や,金型の種別としては特にプラスチック成形金型の製造現場で,実践的に適応できる金属3Dプリンタを普及させることをテーマに,レーザ照射による積層造形と,切削工具による除去加工を1台の機械に融合した,金属3Dプリンタの複合加工機「OPM250L」の開発を行った.

 本稿では,金属3Dプリンタの現状と課題をふまえ,プラスチック成形において必要な,造形物の金属充填率および表面粗さの向上と,「OPM250L」で造形した3次元冷却配管内蔵の金型を用いて,実際にプラスチック製品を成形した事例での,冷却時間短縮による生産性向上の成果を紹介する.

2.金属3Dプリンタの現状と課題

2.1 3Dプリンタとは

 3Dプリンタとは,コンピュータ上(3次元CAD)で作成した3次元データを,薄くスライスした断面形状のデータに変換し,樹脂や金属などの材料を一層ずつ積層していくことで立体形状を作製する装置や機器を示す.3Dプリンタという名称は,文字や絵などの2次元データを通常の紙(平面)に出力するプリンタとの対比で直感的にイメージしやすいことから,日本では広く浸透しているが,2009年にアメリカの民間規格制定機関ASTM(the American Society for Testing and Materials)が制定したAM(Additive Manufacturing=付加製造)という名称が国際的には普及している.

 AMを用いて立体形状を造形する方法を,ASTMでは表1に示す7つのカテゴリに分類している.このうち,金属を材料とする方法は,当社「OPM250L」が採用した「粉末床溶融結合法(PBF:Powder Bed Fusion)」と「指向性エネルギ堆積法(DED:Directer Energy Deposition)」に大別される.

表1●ASTMによるAM技術の分類
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