工作機械は,高速化・高精度・複合化・高機能化とさまざまな進化を遂げてきたが,さらに一段上の生産性の向上を求める場合,物を削って形にしていく加工方法が主流のモノづくりでは限界が見えてきた.工作機械の新たな可能性を開拓すべく,円筒形状,平面,穴,および自由曲面などさまざまな加工が可能な切削型複合加工機に積層造形機能を融合させたハイブリッド複合加工機を開発した.本稿では,ハイブリッド複合加工機の特徴を加工アプリケーション事例とともに紹介し,次世代のモノづくりについての可能性と課題を示す.

1.はじめに

 機械加工方法は,大きく3種類に分類することができる.切削,研削,研磨,レーザ切断などに代表される「除去加工」,鋳造,鍛造,金属プレス,射出成形に代表される「成形加工」,そして第3の加工法として近年,注目を集めているのが,3Dプリンタ,積層造形,溶接,接合などに代表される「付加加工」(Additive Manufacturing:以下,AM)である.AMの長所として,除去加工や成形加工では不可能であった複雑な形状の製品が作成可能であり,効率的な小ロット生産,素材準備を含めたリードタイムの短縮を図ることができる点が挙げられる.しかしながら,機械装置が高価であるにもかかわらず,造形物の精度や生産性,使い勝手やサポート材除去などの運用面において課題が多く,試作や治工具の製作などでの活用が主流である.近年,米国をはじめドイツ,中国,そして日本において政府主導で高水準なAM技術の開発を目指した研究開発が行われている.

 一方,切削などの従来の加工法とAMを組み合わせ,お互いの長所を活かすハイブリッド加工に関する研究も盛んに行われて[1],[2].図1に示すとおり,高精度が要求される工業製品には,AMによる造形精度は不十分であるため,後工程として切削加工で精度を確保する必要がある.ハイブリッド加工とは,1台の機械で,最終製品に近い形状(ニアネットシェイプ)をAM技術により作り上げ,切削加工で高精度な仕上げを行い,生産リードタイムの短縮を図る概念である.それにより,効率的な小ロット生産,加工時間の短縮,素材準備のリードタイム短縮,仕掛かり在庫の削減が期待できる.しかしながら,成熟した切削加工技術に比べ,金属用AM技術は実用化に向けての課題が多く,ハイブリッド加工の概念を持った加工機の用途は限定的である.また,それらの多くは,平面への積層造形に必要な軸駆動のみを有するプラットフォームによりハイブリッド加工を実現させているため,各層の仕上げ切削が主な目的である.一方,母材の成形や造形物への追加工,曲面や円筒形状への造形やコーティング,空中に張り出した形状のサポート材なしの造形などに旋削や5軸制御切削加工を応用することで,さらに複雑な形状の造形・加工を効率よく行える可能性がある.そこで,次世代のモノづくりを提案すべく,当社が従来から提唱してきた「Done-in-One」(ダーン・イン・ワン:工程集約)コンセプトをさらに深化させたハイブリッド複合加工機「INTEGREX i-400 AM」を開発した.

図1●ハイブリッド加工の概念
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