ユーザー企業とITベンダーとの間でトラブルが生じた場合、以前なら大概はITベンダー側に非があるとされた。ITベンダーの能力不足、経験不足からシステム開発プロジェクトが破綻したという解釈がその典型で、ユーザー企業は被害者と見なされた。

 実態は違うこともある。本当にITベンダーに非があるケースはあるが、ユーザー企業の問題から破綻したと疑われるケースも多かった。ただつい最近までITベンダーがユーザー企業の非を語ることは少なかった。特に国産ベンダーは裁判にならない限り、ユーザー企業から何と言われようが黙して語らずで、赤字を背負いながらプロジェクトを建て直し完遂させた。

 だが最近では、ITベンダーもユーザー企業に問題があれば泣き寝入りをしなくなった。交渉が決裂すれば、訴訟を起こし白黒をつけることを選ぶ。最近、控訴審判決があった旭川医科大学とNTT東日本の訴訟はその典型だ。

 ITベンダーの実力行使は良い傾向だ。ユーザー企業に非があるのなら、ITベンダーがその責任を問う行為は、ITベンダーの株主などのステークホルダーの立場からすると当然のことだ。だが、それだけが理由ではない。

 裁判などによってユーザー側の問題点や責任が明らかになると、多くのユーザー企業にとって格好の学びの機会となる。客の立場で無茶な要求をITベンダーに強いると、どんな事態となるか。「人の振り見て我が振り直せ」で、IT部門は自らを律する機会となるし、経営者や利用部門に適正なIT予算や要件定義などの必要性を説明する材料にもなる。

予定を含め3割超が「撤退」

 もちろん裁判はレアケースだ。ユーザー企業の問題の多くは、依然として水面下に隠れている。最近、その一端がやはりITベンダーの実力行使によって明るみに出つつある。長年システムの保守運用を委託していたITベンダーから、撤退を通告されるケースがいくつも出てきているのだ。

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