安倍政権が「働き方改革」の旗を振っている関係で、日本企業も長時間労働の是正などに重い腰を上げ始めた。当然、ITは実現に向けた強力なツールになる。まずは目に見えるハコモノが分かりやすいということか、働き方改革を目指して新たなオフィスの在り方が色々と提案され、先進事例も数多く登場する。

 もちろん働き方改革は、オフィスにフリーアドレスを導入するといった“ハコモノ改革”だけでは実現できない。フリーアドレスで言えば、過去に様々な企業が導入したものの、劇的な効果を上げたという話はあまり聞かない。逆に、従業員が面倒がり、結局は元のオフィスに戻した、といった話を何度か聞いた。

 そう言えば、オフィスにPCが急速に普及しつつあった1990年代前半には「PCによる従業員の増力化」が、企業の間でちょっとした流行となった。PCを1人1台導入することで、個々の従業員の“情報武装”が進み、付加価値の高い労働が可能になる―。そんな話が喧伝された。今から捉え返せば、一種の働き方改革だが、そんなバラ色の未来は遂に実現しなかった。

 その後も、グループウエアやテレビ会議システムなどが登場したが、個人の増力化やホワイトカラーの生産性向上に格段に貢献したという話を寡聞にして知らない。日本生産性本部の調査研究によれば、2014年の日本の労働生産性は主要先進7カ国の中で最も低く、経済協力開発機構(OECD)加盟34カ国では21位が10年にわたり“定位置”だそうだ。

経営者が「楽をしよう」と言うべし

 働き方改革のキモは、従業員一人ひとりの生産性を向上することで、長時間労働を是正し、同時に企業の収益力の向上も図ろうというものであるはずだ。さらに言えば、在宅勤務など多様な働き方も可能にする必要がある。本来、ITを活用すれば、生産性の向上や多様な働き方も実現できそうなものだが、低い生産性や長時間労働などが常態化するのは何ゆえか。

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