教育・学習用のプログラミングツールとして広く使われ始めている「Scratch(スクラッチ)」。その日本での伝道師といえるのが、青山学院大学・津田塾大学非常勤講師の阿部和広氏である。10年以上にわたって毎週のように子供向けあるいは指導者向けのワークショップを開催、蓄積したノウハウを盛り込んだ書籍『小学生からはじめるわくわくプログラミング』など阿部氏が執筆・監修した書籍も広く活用されている。精力的な活動を続ける阿部氏に日本でのScratchの活用状況やScartchプログラミングを子供たちに伝える理由を聞いた。

(聞き手は田島 篤=出版局)

写真1●青山学院大学・津田塾大学非常勤講師の阿部和広氏
[画像のクリックで拡大表示]

Scratchの世界および日本での利活用状況を教えてほしい。

 世界規模での利用状況ということでは、Scratchの公式サイトの登録利用者数が目安になる。2015年7月時点で約710万人が登録して作品づくり(注:Scratchではプログラムを作品と呼ぶ)を楽しんでいる。このうち、日本での登録利用者数は5万4360人。世界全体の0.78%に過ぎないが、少し前は0.7%だったことを考えると着実に増えていると捉えてよいだろう。

 ユーザー数の増加とともに、作品数も急増している。例えば、Scratchの公式サイトにアップロードされた作品数はつい先日、累計で1000万を超えた。若干感覚的にはなるものの、Scratchが公開された2006年から2013年までに着実に増えてきたユーザー数が、2013年からの2年弱ほどで倍増しているほどの急増ぶりだ。

ユーザー数や作品数が急増している理由は?

 世界ということでは、製造業から情報産業へのシフトを促す動きが後押ししていると考えている。具体的には、2013年の米国でのプログラミング教育の推進活動などがある。象徴的だったのが、オバマ大統領が「すべてのアメリカ人にプログラミングを学んでほしい」と呼びかけた演説だ。「1時間でいいからプログラミングをやってみよう」という運動(Hour of Code)の一環として、その普及活動に協力したものである。

 米国以外でも、例えば英国では小学生からプログラミングを含む計算機科学の義務教育化が始まっているなど、多くの国々でプログラミング教育にこれまで以上に力を入れた取り組みが始まっている。こうした動きがScratchユーザーの急増につながっているのではないか。

日本のユーザーが増えている理由も同様なのか。

 世界の動きが日本にも伝わってきているので、教育関係者や保護者の間でプログラミング教育熱が高まっているといえるだろう。

この先は会員の登録が必要です。有料会員(月額プラン)は登録月無料!

日経 xTECHには有料記事(有料会員向けまたは定期購読者向け)、無料記事(登録会員向け)、フリー記事(誰でも閲覧可能)があります。有料記事でも、登録会員向け配信期間は登録会員への登録が必要な場合があります。有料会員と登録会員に関するFAQはこちら