主に子供を対象にしたプログラミングのワークショップを10年以上実践しているのが青山学院大学客員教授の阿部和広氏である(関連記事1関連記事2)。プログラミング教育の実践者の眼に、現在のプログラミング教育ブームはどう映るのか。取材日もRaspberry PiとScratchを使ったワークショップを実施していた阿部教授に、最近の動向や新学習指導要領案への意見を聞いた。

(聞き手は田島篤=出版局)


プログラミング教育に関する動きはますます活発になっています。それについて、どのように捉えていますか。

取材時の2017年2月26日に成美教育文化会館で実施された、Raspberry Pi、Minecraft Pi、Scratchを使ったワークショップ。このようなワークショップを10年以上続けている
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 まず、プログラミング教育を提供する機会の絶対数が増えていると思います。民間団体やNPO(非営利団体)が実施するワークショップ、プログラミングを取り入れた学校の授業などです。

 その内容については、ひとくくりにできず、さまざまです。一口にプログラミングのイベントといっても、いろいろな方法や目的で実施されています。使う道具も、Scratchのようなビジュアル言語から各種テキスト言語、パズル型のもの、Minecraft、そしてロボットやドローンまで、というように多様です。

 総じて、プログラミング教育に関心が高まっていることはまず間違いありません。その背景にあるのは、文部科学省がつい先日(注:2017年2月14日)に公開した新学習指導要領案です。小学校段階におけるプログラミング教育が2020年から行われるということが多くの人々に伝わり、現実味を帯びてきたということでしょう。

その新学習指導要領案について、どう思われますか。

 今回の案が出るまでの過程を継続して見てきました。それを振り返りつつ説明しましょう。

 2013年6月に素案が示された成長戦略で、政府の「義務教育段階からのプログラミング教育」を行う方針が明らかにされました。これを受けて、2014年に文部科学省で「プログラミング学習に関する調査研究会」が開かれ、私も委員として参加しています。そして、2016年4月に安倍首相が産業競争力会議でプログラミング教育への取り組みを宣言したことで広く知られるようになりました。それを実行に移すために有識者が参集し(注:小学校段階における論理的思考力や創造性、問題解決能力等の育成とプログラミング教育に関する有識者会議)、その議論が取りまとめられたのが2016年6月です。それに基づいて中央教育審議会が答申を出し、今回の新学習指導要領案に至ります。

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