基幹系システム刷新などの際、IT部門やITベンダーを問わず、要件定義やプロジェクトマネジメントを担う技術者は利用部門の強烈なワガママに悩まされる。「あれをやれ、これをしろ」「こんなんじゃ使えない」などと理不尽な要求やクレームを言う利用部門は多く、対応を誤るとシステム開発プロジェクトは大炎上し、技術者は悲惨なデスマーチを歩まなければならない。

 だから、利用部門の理不尽を抑え込み、要件が肥大化したりブレたりしないようにするのが要件定義やプロマネを担う技術者の重要なミッションだ。本来ならIT部門の技術者の役割だが、IT部門が無能集団化して無理というなら、開発プロジェクトを丸投げされたITベンダーの技術者がその役割を肩代わりするしかない。

 技術者が特に困る利用部門のワガママはシステム刷新の際の「現行通りプラスα」要求だ。「現行通り」という要求が恐ろしいのは衆知の通り。老朽化した基幹系システムの刷新なら、仕様書などのドキュメントが散逸しているうえに、利用部門には業務プロセスを説明できる人がいない。ERP(統合基幹業務システム)を導入するのに「現行通り」で破局という話は、そこら中にごろごろ転がっている。

 残りの「プラスα」の要求も厄介だ。IT部門やITベンダーの技術者からすると「何でそんな細かい機能が必要なんだ」と怒りたくなる要求や、曖昧でいかにも地雷が埋まっていそうな要求が利用部門から寄せられる。しかも要求通りの機能が完成し、利用部門に「これでよいか」と確認してもらうと、「こんなんじゃ使えない」と手戻りにつながるクレームをつけてくる。

 このように書いてくると、システム開発の際の利用部門はまるでモンスターカスタマーのようだ。実際に大炎上プロジェクトでそんなモンスターに悩まされた技術者も多いだろう。だが少し前に、ある大企業の利用部門の人にその話をしたら、意表を突く反応が返ってきた。「それって我々のせいですか。悪いのはIT部門やITベンダーのほうでしょ。そもそも我々は客じゃないしね」。

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