御用聞き商売が長いせいか日本のITベンダーには、ユーザー企業に関することで自らをマインドコントロールしてしまっていることがある。「お客様は神様、無理難題でも聞かなければならない」というのは、その最たるものだが、「お客様のビジネス領域を侵犯してはならない」というのも強固なマインドコントロールだ。そんなはずはないだろう。

 今、多くのITベンダーにとって最重要顧客である銀行は、FinTech(フィンテック)の動向にとても神経質になっている。FinTechとはFinance(金融)とTechnology(=IT)を組み合わせた米国発の造語で、言うならば金融とITの融合領域のこと。米国、そして日本のネット企業などが続々と新しい決済サービスを生み出しているが、その動向を示す。

 銀行からすれば「本来FinTechは自分たちが取り組むべきこと」との思いがあるが、規制などの問題もあり思うに任せない。このままでは付加価値の高いサービスは全て新興企業のものとなる恐れもあり、銀行は当然ナーバスになる。実際、全国銀行協会の佐藤康博会長(みずほフィナンシャルグループ社長)は日本経済新聞のインタビューで「銀行業務は異業種からの強い挑戦を受けている」と強い危機感を表明している。

 ネット企業は、SIerなど既存のITベンダーと業態は違うが、広い意味ではIT業界の一員だ。つまり銀行の経営層にとっては、IT業界から自分たちの事業領域を侵犯されていると映っていることだろう。銀行など金融機関は巨額のIT投資を続けるシステム産業であり、本来ならFinTechなどと改めて言う必要が無いはずだが、そんな造語が出来るほど“新たなIT”から挑戦を受けているわけだ。

 そんなわけなので、既存のITベンダーも是非FinTechにチャレンジしてみてはどうか。日本のITベンダーの多くが金融向けのシステム開発を主な生業としているのだから、新興のネット企業だけに好きにさせておくのはもったいない。もちろん「冗談じゃない。上得意のお客様を怒らせたら大変」との声が出るのを承知の暴論だ。でも、そんな意識では自らの可能性を狭めるだけなのだが・・・。

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