かないわ病院(所在地:石川県金沢市)は、1956年4月に「金石神経サナトリウム」として診療を始めた、精神科、心療内科、児童精神科、循環器内科、内科を標榜する病院である。2015年4月時点の病床数は189床で、143名の医師や職員が日々、地域における精神医療福祉の浸透・支援に奔走すると同時に、障がい者の自立促進を図っている。

写真1●かないわ病院の全景
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 同病院はこれまで、「社会的入院」と呼ばれる精神科療養病床を中心とする病院経営を行ってきたが、厚生労働省が医療費抑制や療養病床削減などを打ち出すなか、急性期化および複合化への対応が急務となり、医療現場の改革を進めている(写真1)。

 その改革のカギを握っているのが、「攻めのIT経営」だ。同病院は、高セキュリティ・ノンストップ稼働の仮想化基盤をベースに、チーム医療に必要な情報を共有するための電子カルテを中心とした病院情報システムの刷新を実施。医療現場の対応スピードを飛躍的に高めた。

 以下では、かないわ病院が、攻めのIT経営を進めた背景やその過程、成果について紹介しよう。

仮想化技術との出会いをきっかけにIT部門を設立

 かないわ病院が、IT投資を行うようになったのは、2011年ごろである。当時、同病院には情報システム専従担当者が存在せず、総務担当であった河原直人氏が兼務でシステム管理を担当した。IT化における課題が山積みのなか、日々の対応で精一杯となり、なかなか本格的なIT利活用に進めなかったという。

 転機は同年5月に河原氏が近隣にある大学病院の院内仮想化システムを見学したことだった。同システムではデスクトップ仮想化技術によって、セキュリティを確保しながら、様々なデバイスから診療情報へアクセスできた。河原氏は「病院スタッフのワークスタイルが激変しそうだ」「システムの集中管理ができそう」と感じ、導入に向けた調査を始める。

 院内仮想化システムの導入は容易ではなかったが、一歩ずつ進んだ。まず、河原氏はIT化に対する経営層の意識を高めたという。来る日も来る日も、経営層と話し合いを行い、そのなかで経営層の悩みを聞いた。その甲斐あって、2013年4月には念願の新組織「IT管理課」を設立。情報システム専従担当者となる。

 その後、院内仮想化システムの導入に向けて、関係者の合意形成を進め、ITベンダーへ提案を依頼。提案内容を基に選択したITベンダーの支援によって、無停止サーバーやゼロクライアントなどで構成する院内仮想化システムを導入して、様々な成果を得る。

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