中川は、東京都台東区の浅草寺前に「浅草中屋」の屋号で本店を構える、日本伝統の祭り用品専門店である。半纏(はんてん)、手ぬぐい、足袋(たび)、提灯(ちょうちん)といった祭りに必要なアイテムは何でもそろっている。創業は1910年(明治43年)で100年以上商売を続ける老舗だ。浅草の本店のほか、仲見世店、オンラインのWeb店舗などを運営したり、全国百貨店の催事会場に短期間臨時店舗を出店したりしている(写真1、2)。

写真1●中川浅草本店の外観
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写真2●中川仲見世店の外観
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写真3●中川雅雄社長
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 同社3代目の社長である中川雅雄氏は、米国留学や出版社勤務を経て、1987年に34歳で実父が経営する同社へ入社。経営革新を主導しながら2002年に48歳で社長に就任した(写真3)。中川社長の経営革新手法はIT(情報技術)の活用である。米国留学中に、ITの活用が進んだビジネスの現場を目の当たりにし、日本においてもITの活用が競争力の源泉になると確信したという。

 中川社長は入社したときから、中小の小売業としてはいち早く、仕入れから在庫管理、受注までに至る一連の業務をシステム化し、業務効率を高めてきた。例えば、季節商品である祭り用品の需要を、過去の販売データを基に予測し、在庫管理・発注を最適化している。

他社に先駆けて自社Webサイトでネット通販を開始

 インターネットが普及し始めた1998年には、他社に先駆けて自社Webサイトを開設してネット通販を開始した。今では商品販売のみならず、股引(またひき)や腹掛けなどの伝統衣類については着用方法のような商品関連情報も提供。併せて、江戸東京セミナーや浅草ドットネットなどの地域文化に関する情報を発信することで、顧客の誘導を図り、浅草中屋ファンを増やしてきた。また、顧客一人ひとりの購買履歴から、おすすめ商品を提案するリコメンデーションシステムを導入するなど、顧客の利便性に配慮しつつ客単価を高めるために、随所でITを活用している。

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