山口祐弘氏は、福井県越前市の伝統的工芸品「越前箪笥(えちぜんたんす)」をはじめとする家具・建具・小物を企画・製作する家具製作工房「Furnitureholic(以下、ファニチャーホリック)」を設立し、その代表者としてオーダーメイドの家具などを提供している。新商品開発にも積極的で、最近では越前箪笥の技術を使ったキャリーケースを開発。伝統的工芸品の枠を超えて新たなニーズを掘り起こそうとしている。

 この画期的な取り組みを支援したのが、ITコーディネータである福井県よろず支援拠点の先織久恒氏(チーフコーディネーター)である。先織氏は、山口氏の思いの具体化に向けて企画段階から支援をスタート。製品テストや販路開拓にも協力した。企業のIT化案件ではないものの、ITコーディネータの持つ課題解決力が役立つ例として注目できる。ここでは、その支援の様子を解説しよう。

伝統的工芸品の技術を利用したキャリーケースの開発に着手

 発端は2014年のことだった。地元の百貨店「西武福井店」で11月に開催される「福井の匠ファッションショー」に向け、山口氏は仲間から「越前箪笥を使ってファッションアイテムを作れないか」と打診される。山口氏はその要望に応え、越前箪笥型の大型キャリーケースを企画・製作した(写真1)。越前箪笥に使われる金具には「猪目(いのめ)」と呼ばれる特徴的な透かし模様が入っている(写真2)。猪目はハートマークに似た模様で、伊勢神宮などの神社仏閣建築の装飾で、魔除け・縁起物として使われている。

写真1●「福井の匠ファッションショー」に向けて企画・製作した大型キャリーケース
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写真2●ハート型の猪目(いのめ)
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