愛媛県西南部に位置する南予(なんよ)地域。えひめシーフードサービスは、2016年3月から11月まで「えひめいやしの南予博2016」が開催されている同地域の一角、八幡浜市(やわたはまし)にある。愛媛県の水産業は鯛(タイ)やブリの養殖で知られるが、八幡浜市は宇和海という絶好の漁場に面しており、身の引き締まった鮮魚が水揚げされる。

 同社は1915年(大正4年)に、帆打瀬網(ほうたせあみ)漁業で創業し、沖合底びき網漁業、鮮魚の直販やその加工品の生産・販売を経て、2011年(平成23年)に現社名で法人化された(写真1)。主な事業は魚類の仲買(なかがい)で、市場の競りで買い付けた鮮魚を、飲食店などへ産地直送で提供するほか、その日のうちにカット加工してCAS(セル・アライブ・システム)で新鮮さを保って冷凍し、ホテル・食品商社などへ提供している。Webサイトで商品を紹介したり、中元・歳暮シーズンにギフトカタログを発行したりするなどで、一般消費者にも商品を販売している。

写真1●えひめシーフードサービスの宮本洋志社長(左)と宮本一成会長(右)
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 えひめシーフードサービスの事業の主な特長は三つある。

(1)経営者が自ら市場へ出向き、仲買としての目利きで魚種を厳選する
(2)CAS冷凍を活用し、需給バランスを判断して商品を安定的に出荷する
(3)経営者自ら、商品価格や水揚げの情報をファクス、メールやSNSなどのITを活用して積極的に発信する

 特に注目したいのは、鮮魚価格の相場をファクスやメールで提供する「浜情報」である。鮮魚食材の展示会「ジャパン・インターナショナル・シーフードショー(東京で開催)」「シーフードショー大阪」に出展し、名刺を交換した潜在顧客へ発信したときの反応が良く、多数の問い合わせや引き合いに結びついている。サンプルなどを届けると商品を評価した顧客が、県外から直接、八幡浜市の同社へ商談に来るケースも増えている。さらに、FacecbookのようなSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)を活用して、魚市場の水揚げの様子を写真を使って発信することで、知名度を上げている。

 こうした、えひめシーフードサービスのIT経営は、中小企業庁が全国に設置する経営相談所「よろず支援拠点」の全国本部において2016年3月に、愛媛県の事例として取り上げられた(外部サイト記事『お客様への見せ方の精度の意識を変え、制作する販促物を一新!』)。ここでは同社の取り組みを、より詳しく紹介しよう。

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