御菓子司津村屋(おんかししつむらや)は、2016年10月に創業50年を迎える大阪府吹田市の和菓子店である。原材料として地元の食材である「大阪産(もん)」を使い、手作りの和菓子を、安全・安心でオリジナリティーあふれるオンリーワンの商品として製造・販売(写真1)。その商品へのこだわりを独自Webサイトのブログや画像・動画などで発信することで、良質の和菓子を求める潜在顧客に幅広く訴えてきた。その結果、ネット上の口コミが、リアルな人づての口コミに広がり、潜在顧客を実店舗や販売イベント会場へ誘導することに成功。2013年の売上高は2009年の2倍に拡大した。

写真1●店主の角村茂氏(右)と角村智絵氏(左)
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 注目したいのは、和菓子は賞味期限が短い商品が多いため、一般消費財のようにネット通販で売上高を増やすというIT化戦略に重点を置かなかった点だ。ブログや画像・動画といったWebサイトのオリジナルコンテンツを核に、FacebookやTwitterといったSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)を活用して情報拡散を行い、リアルな集客につなげている。

 同店の事業の特徴は、大きく分けて三つある。

(1)店主自ら地元の産地へ直接出向き、原材料を厳選している。
(2)主要商品の原材料である国産ブランド栗「銀寄(ぎんよせ)」の栽培に自ら携わる。
(3)独自のWebサイトを開設・活用して、店舗情報や商品情報を製造工程まで含めてPRすることで、作り手の「こだわり」を中心に積極的な情報発信を行っている。

 テレビや雑誌など多数のメディアが取り上げたこともあり、今では本物にこだわる顧客が遠方から来店することも珍しくなくなった。事業戦略とIT化戦略を一体的に進めるIT経営の事例としても評価され、2015年10月に発表された経済産業省の「攻めのIT経営中小企業百選」にも選ばれている。

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