朝日新聞社が朝日放送テレビと共同で展開する「バーチャル高校野球」のライブ中継(地方大会と全国大会)がスポーツメディア「SPORTS BULL(スポーツブル)」で2018年7月4日から8月21日にかけて実施された。地方大会では709試合を、全国大会については全55試合を視聴できるようにした。

 「SPORTS BULL」は、全国高体連公式インターハイ応援サイト「インハイ.tv」と連携し、2018年7月26日から8月20日にかけて、インターハイ夏季大会における競技のインターネット生中継も実施した。スポーツブル内に「インハイ.tv」タブを設けて、固定カメラによる全30競技の試合のライブ中継映像を視聴できるようにした。

 このほかに「SPORTS BULL」は提携する媒体の記事コンテンツのキュレーション配信を土台として、ハイライト映像やオリジナル番組などの動画コンテンツを配信している。60社以上の媒体と提携を行っており、1日に配信するコンテンツ数は約700本という。「SPORTS BULL」を運営する運動通信社の代表取締役社長の黒飛功二朗氏に現状や今後の展開について聞いた。

(聞き手は本誌編集長、長谷川 博)

運動通信社 代表取締役社長の黒飛功二朗氏

「SPORTS BULL」を開設した経緯は。

黒飛  電通での10年弱の勤務を経て、起業して他社のIT関連事業を支援する会社を設立した。夏の高校野球のライブ配信事業である「バーチャル高校野球」のプロデュースを手がける機会があり、それ以降放送局から「スポーツコンテンツを提供するオンラインサービスを開設したいので手伝ってほしい」とたびたび声を掛けられるようになり、ひとつひとつ受注案件を手がけていった。

 スポーツとインターネット配信の親和性の高さに手応えを感じる一方で、スポーツメディアの現状にいくつか疑問を感じていた。スポーツコンテンツを持つ各社がそれぞれメディアを持つのは世の中全体で見て効率が良いとは言えない。さらに各競技の大会の開催に合わせてオンラインサービスが立ち上がるものの、大会が終わると閉鎖されてしまう。そして次の大会が近づくと改めてサービスが立ち上がるが、前大会のものとは別物なので、一からユーザーを集める必要がある。

 多様な競技を網羅し、オールシーズンでスポーツファンが集まるスポーツメディアを立ち上げれば、ユーザーをストックできる。新たな価値を提供できるのではないかと考え、「SPORTS BULL」立ち上げることにした。

運動通信社はKDDI、朝日新聞社、ABCフロンティアホールディングス(朝日放送グループ)から出資を受けている。

黒飛  朝日新聞社やABCフロンティアホールディングスについては、依頼を受けた「バーチャル高校野球」のプロデュースを通じて信頼関係を築かせてもらった。「SPORTS BULL」の立ち上げに関する私の理念を伝えたところ、共感してもらえたこともあり、2社を引受先とする第三者割当増資を実施することになった。

 KDDIについては、「バーチャル高校野球」のプロデュースを行った後に髙橋誠さん(現・代表取締役社長)から声を掛けてもらったことがきっかけとなった。「SPORTS BULL」の説明をしたところ、KDDIが当社に出資し、さらに2社で協業契約を締結するということになった。「SPORTS BULL」を提供するに当たり、KDDIのスタッフには毎日のように現場で協力してもらっている。一方で「SPORTS BULL」をKDDIの通信サービスに閉じるキャリア限定的なものにすべきではないということについても合意がとれている。引き続き、キャリアや系列をまたぐ横断的サービスとして展開する。

「SPORTS BULL」が目指すメディア像は。

黒飛  様々な競技の発展に貢献できるメディアにしたい。競技の発展にはファンの増加が重要になる。「SPORTS BULL」には多種多様な競技の情報があり、例えば野球の情報を見に来た人がついでに他の競技の情報も見る、といったことを実現できる。各競技の認知度向上に貢献するという点は大前提だ。

 時間的な制限があるためなかなかテレビなどで放送されない試合の動画や情報を提供する点にもこだわりたい。地方大会の一回戦など、なかなか取り上げられない情報をカバーしていきたい。特にローカル色の強い学生スポーツなどのアマチュアスポーツを積極的に取り上げていく。

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