情報キュレーションサービスを展開するGunosyが動画配信サービスに注力している。2018年2月に同社初となるライブ動画として、ユーザー参加型のクイズ番組である「グノシーQ」の配信を開始した。「グノシーQ」は、ニュースアプリ「グノシー」ユーザーであれば参加でき、クイズに全問正解すれば他の正解者と賞金を山分けできる。2018年4月からは、女性向け情報アプリ「LUCRA(ルクラ)」にて、メイクや恋愛をテーマにした番組を配信している。代表取締役 最高執行責任者(COO)を務める竹谷祐哉氏に動画配信を開始した理由や今後の展開について聞いた。

(聞き手は本誌編集長、長谷川 博)

Gunosy 代表取締役 最高執行責任者(COO)の竹谷祐哉氏
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動画配信を開始した理由は。

竹谷  当社は2013年からニュースアプリの「グノシー」を通じて、機械学習を活用してユーザーが関心を持ちそうなインターネット上のニュースを集約し、スマートフォン上で閲覧できる、情報キュレーションサービスを提供している。開始当時は画期的だったが、今では一つのニュースアプリで自分が関心を持っている分野の様々なニュースを見れるのは当たり前になっている。

 一方、最近は通信環境の整備が進み、Wi-Fiで動画を視聴するのは珍しい風景ではなくなっている。時流が変わればコンテンツ体験も変わる。それを踏まえて新しい価値をつくりサービスに乗せれば、その価値を認めるユーザーには使ってもらえる。新たな訴求軸を確立したいと思い、ライブ動画を開始した。

2018年4月の決算説明では、広告の「Gunosy Ads」の売上高減少の原因として「グノシー」のアクティブユーザー数減少を挙げた。

竹谷  これまでの「グノシー」はテキストのニュースだけを提供するのにとどまっていた。動画配信によって、これまでの「グノシー」にはない価値を提供したい。

「グノシー」の動画コンテンツとして賞金付きクイズ番組の「グノシーQ」を採用した理由は。

竹谷  「グノシー」でクイズ番組を提供すれば、ユーザー参加型のサービスを実現できる。ユーザーはクイズの回答を考え、それをスマホで送ることが可能だ。インタラクティブな面での楽しさを提供できると考えた。さらに番組視聴のインセンティブを提供するため、賞金付きのクイズ番組という形にした。

 クイズ番組には、家族や友人と一緒に見て、それぞれ回答を言い合うなどして楽しめるという面もある。「ユーザーに楽しんでもらえる」と「マネタイズのイメージが付く」という二つの点のバランスが取れていることを考慮し、採用を決めた。

動画コンテンツのマネタイズの手段は。

竹谷  現在、広告による収益化の準備を進めている。広告の種類としては、番組と連動する企画型広告と、流す番組や場所を特定しない広告が考えられる。テレビのタイムCMとスポットCMの概念に近いイメージだ。

 企画型広告については、2018年3月にβ版として実施した。「グノシーQ」が始まる直前に広告対象商品の理解を促進する動画を流し、その後でその商品にちなんだ問題を出すといった手法を採用した。これから回答する問題に関する動画ということになると、視聴者により真剣に見てもらえる。従来の動画広告にはなかった訴求力があると思っている。グノシーでの動画広告の配信はそう遠くない時期に開始する見込みだ。

女性向け情報アプリの「LUCRA(ルクラ)」でも動画を配信している。

竹谷  「LUCRA(ルクラ)」での動画配信はユーザー獲得の意味合いが強い。モデルなどが出演するメイクに関する番組は配信中にユーザーがコメントで質問できる点が好評で、「この番組があるからLUCRAをインストールした」という声も出ている。ユーザー獲得の面で貢献している。

今後、どのようなコンテンツを配信するのか。

竹谷  ゲーム性や面白さがあるユーザーに喜んでもらえそうな動画コンテンツを配信する。出演者の豪華さや画質で勝負すると、資金の勝負になってしまい当社としては厳しい。このため制作費はそれほど掛からないが、ユーザーの関心を引くことができるコンテンツを提供したい。例えばユーザーが結果の予想に参加できる要素があれば企画として成立すると考えている。これ以外にも様々な企画を試してみて、どのようなコンテンツを配信すべきかを探っていきたい。

 予想に参加できる要素があるコンテンツについては、例えば地上波のテレビ局といった他の媒体と連動するのも面白いかもしれない。テレビの画面とスマホの画面は食い合わないので、そうした取り組みもあっていいと思っている。先日テレビドラマとの初の連動企画を実施した。さらにテレビ番組との新たな連動企画について現在話をしているところだ。

機械学習を活用してユーザーの興味・関心に合う動画コンテンツを提供することも考えられる。

竹谷  今はまだ行っていないが、5Gの通信環境が実現すれば動画コンテンツの本数が増え、どのコンテンツをどのユーザーに見せるべきか、という点が課題になるだろう。仮に今後、他社が制作した動画コンテンツも「グノシー」で配信するということになれば、その数はさらに増える。動画コンテンツの増加を想定し、機械学習を活用した動画マッチングについて、今後準備を進めていきたい。

出典:日経ニューメディア 2018年6月25日号 pp.6-7
記事は執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。