BS放送などの衛星基幹放送業務に関する認定の公募が2018年度中に行われることになった。既存のBS放送事業者が自主的な帯域返上の意思を持っていることが確認できた右旋円偏波(右旋波)の電波では、ハイビジョン放送または標準テレビジョン放送(SDTV放送)の業務認定を公募の対象とする。左旋円偏波(左旋波)の電波では超高精細度テレビジョン放送(4K放送もしくは8K放送)の業務認定が対象になる。今回の衛星基幹放送業務の公募は、BS放送に新規参入したいと考えている事業者にとって、新チャンネルを開局するチャンスとなる。

 衛星放送の帯域の有効活用については、総務省の「衛星放送の未来像に関するワーキンググループ」で議論が進められ、検討結果は「放送を巡る諸課題に関する検討会」の第2次取りまとめに反映された。衛星放送未来像ワーキンググループなどで、BS放送の新規参入の門戸を開くことの重要性を指摘していたのが、当時総務大臣政務官を務めていた小林史明氏である。現在は、自由民主党の行政改革推進本部 事務局長や情報通信戦略調査会 事務局次長などを務める。小林氏に行政改革推進本部の活動やBS放送に対する考え方などを聞いた。

(聞き手は本誌編集長、長谷川博)

自由民主党 行政改革推進本部 事務局長の小林史明氏

放送や通信の分野で自民党の行政改革推進本部はどのような役割を担っているのか。

小林 行政改革推進本部には「規制改革プロジェクトチーム」があり、ここは規制改革推進会議のカウンターパートとしての役割を果たしている。規制改革プロジェクトチームの対象分野には放送や通信も含まれる。私は行政改革推進本部の事務局長という立場で、規制改革の個別分野の事務局長も務めている。

 現在は、行政改革推進本部から規制改革推進会議に投げかけて、検討項目として採用された電波行政関係の議論の状況をフォローアップしている。行政改革推進本部として新たに課題にすべきと考えるものがあれば、それを追加で規制改革推進会議に投げかけることもあるだろう。

 行政改革推進本部として何かしら提言があれば、「経済財政運営と改革の基本方針」(骨太の方針)への反映を目指すことになる。仮に提言をまとめるという事態になったら、骨太の方針のスケジュールをにらみながら作業を進めることになるだろう。

総務大臣政務官時代にかかわったBSの衛星基幹放送業務に関する認定の公募が2018年度中に行われることになった。

小林 既存のBS放送事業者から返上の意思が示され、42スロットの帯域を確保できるメドが立った。放送の技術の進歩によって12スロットの帯域でハイビジョン放送が実施できる状況になり、空き帯域が捻出される余地ができた。技術の進歩によって新しいチャンスができるのは理想的だ。

 BS放送では全国の約4000万世帯に番組を提供できる。放送にも様々な種類があるが、個人的にはBS放送のコストパフォーマンスは良いと考えている。放送は「新規参入がしにくい」「多大なコストが掛かる」という印象を持っている事業者もいるかもしれないが、BS放送に関心があるのであれば、まずは参入を検討してほしい。

 放送業界をより活性化するためには新しいプレーヤーの出現が一つのカギになる。例えばテニス界や将棋界を見ると、新たなスターの登場で業界全体が活性化している。仮に有力なコンテンツホルダーが新たに参入するということになり、そのコンテンツのファンが新たにBS放送を見始めれば、BS放送の視聴者数の底上げにつながると確信している。

放送諸課題検討会の第二次取りまとめでは、右旋BSの帯域の有効活用について、SDTV放送からハイビジョン放送への移行を希望する者を優先する方針が盛り込まれた。

小林 会議が始まる前の打ち合わせの段階から、まずはSDTV放送チャンネルのハイビジョン化を優先するという考えはあった。会議の運営上、空き帯域を捻出して新規参入という話を先行したが、既存チャンネルのハイビジョン化を優先するという考えは放送諸課題検討会の第二次取りまとめにもともと反映するつもりだった。

小林さんは2017年に行政改革推進本部の一員として公共用周波数の民間開放に関する緊急提言の取りまとめに参加したが、BS放送用帯域の現状をどう見ているか。

小林 右旋BSでは新たに空き帯域が捻出されることになり、左旋BSにも空き帯域がある。まずは皆さんに馴染みのあるBS右旋で新しい動きを見せることによって、参入意欲を喚起し、帯域全体の有効活用を実現していきたい。

出典:日経ニューメディア 2018年12月24日号 pp.5-6
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