量子力学の原理を応用して計算する量子コンピュータがより安く使えるようになりそうだ。カギを握るのは光を使って計算を解く新しい計算方式だ。内閣府による「革新的研究開発推進プログラム(ImPACT)」で量子コンピュータの研究プロジェクトを率いる山本喜久氏が2016年10月20日(米国時間)に発表した。

 新方式で計算できる量子コンピュータの実験機を山本氏と共同開発したNTTは、2017年秋にも同方式を使った量子計算をクラウドサービスとして外部提供する計画だ。AI(人工知能)の開発や化合物の構造比較、画像認識など幅広い用途での活用を見込んでいるという。

 山本氏が開発した計算方式は、レーザー光をパルス状に変換して計算に利用する「レーザーネットワーク方式」と呼ぶもの。理論は20年以上前からあるが、今回初めて実験機で計算して、実際に使えることを確かめた。

量子コンピュータの計算方式
適用範囲が広く、安価に使える量子コンピュータが登場してきた
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 量子コンピュータは物理現象を利用して計算を並列処理することで処理速度を高める。並列で処理できる数の目安となる量子ビットの「結線数」は、新方式では400万個だ。山本氏によれば、米IBMが開発する「量子ゲート方式」で10個以下、カナダのD-Wave Systemsが開発する「量子アニーリング方式」で3300個という。

 今回開発した量子コンピュータは、光パルスを変調する装置が性能のネックとなっているという。同装置の設計を改良すれば、量子ビット数を現在の10倍以上に増やせるという。既に実現するメドは付いているため、将来的に大幅な性能向上が見込める。

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