「キーワードは『協創』と『つなぐ』だ」――。日立製作所の東原敏昭執行役社長兼CEO(最高経営責任者)は、日立が目指す「IoT時代のイノベーションパートナー」を実現するためのポイントとして、この二つのキーワードを繰り返し強調した。この発言は、日立が10月27日から28日に東京都内で開催した「Hitachi Social Innovation Forum 2016」の基調講演で出た。

「Hitachi Social Innovation Forum 2016」の基調講演で離す東原敏昭執行役社長兼CEO
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展示会場で行われていたEMIEWのデモンストレーション
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顧客に事業価値を見える化

 東原社長がいう「協創」とは、顧客と新しい価値を作りだすため、課題などを見える化してビジネスモデルをデザインし、検証やシミュレーションを重ねて具体化していくプロセスのこと。「つなぐ」とは同社のIoT(インターネット・オブ・シングズ)プラットフォームに顧客やパートナーのシステムをつなぎ、ソリューションを迅速に作りだすことを中心とした取り組みである。

 「IT、OT、製品の三つを持っていること。このような企業は珍しく、これが日立の強み。ITや制御、モノづくりなどに関する我々の知見を生かし、顧客と一緒に課題を解決していきたい」。東原社長はこう強調する。日立が掲げる「協創」では、いかに顧客の親身になれるか。ビジネスの原則である対話が鍵を握る。既に日立は、独自のツールを活用し、顧客との対話を進めている。

 例えば、「エスノグラフィー調査」だ。「デザイナー」や「リサーチャー」と呼ぶ日立の専門家が、顧客の現場に出向いて観察し、本質的な課題や潜在的なニーズを発掘・共有する。 さらに日立は、IT利活用による事業価値を見える化・検証するための独自ツール「NEXPERIENCE/Cyber-Proof of Concept」を駆使して、顧客企業に様々なソリューションの効果を示しているという。ビッグデータやAI、IoTなど最新技術を試験的に導入する顧客企業は増えているが、「実験止まりでなかなかビジネスに結びつかない」と嘆くIT企業の担当者は少なくない。これについて東原社長は、「我々はNEXPERIENCEを使って、顧客に(最新技術を導入することの)投資対効果をきっちりと提示している。これによって、実際のビジネスにつながるケースが増えており、NEXPERIENCEはコンサル営業の武器になっている」と話す。

 NEXPERIENCEというコンサルティング支援ツールはあっても、課題はある。顧客と直接対話するフロント人材の不足だ。「顧客と一緒に課題解決策を考えられるスーパーコンサルタントを増やさないといけない。現在、その育成に力を入れているところ」と東原社長は打ち明ける。ただし人材育成には時間がかかる。コンサルティング力を迅速に強化するため、国内外のコンサルティング会社との提携なども検討しているようだ。

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