世界中のテクノロジー企業や投資家が注目するイベントといえば、「SXSW(サウス・バイ・サウスウエスト)」。毎年、米国テキサス州オースティンで開催されるクリエイティブビジネスの国際見本市だ。このSXSWのようなイベントを日本でも作り出す目的で札幌市で開催されたのが「NoMaps(ノーマップス)」である。メーン会期の2017年10月5~15日は、札幌中心部の地下街やホールがこのイベントでジャックされた。

「NoMaps」の会場の一部になった札幌駅周辺の地下街
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通行人が行き交う地下街の通路に企業がブースを出展していた(左)、地下街の柱にはイベントロゴが(右)
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 そのイベントのなか、注目すべきトークセッションがあった。タイトルは「地域社会とモビリティの将来、そしてAI」。この場でトヨタ自動車と、北海道でドラッグストアを展開するサツドラホールディングス(HD)の協業について当事者が意図を語った。協業の内容は、両社が北海道に住む消費者の生活を支援するスマートフォンアプリ「みちくさナビ」を共同開発するというものだ。

 みちくさナビは、ユーザーの位置情報や好みに応じて近隣店舗のクーポンやイベント情報などを表示するアプリ。サツドラHDが保有するPOS(販売時点情報管理)データをはじめ、地域共通ポイントカード「EZOCA(エゾカ)」の利用履歴などを人工知能(AI)で分析することで実現する。位置情報に応じてユーザーに情報を表示する技術は、トヨタグループのトヨタマップマスターが所有する「ダイナミックPOI(Point of Interest)」を活用する。

「みちくさナビ」の画面イメージ(開発中)
(出所:サツドラホールディングス)
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 両社の目的はみちくさナビを通じて、顧客一人ひとりに最適な情報を提供するノウハウを蓄積すること。アプリは2017年11月下旬から無償提供を開始し、両社は実証実験を進める。

 この取り組みには二つの疑問が生じる。一つは「トヨタがなぜ生活支援アプリを作るのか」、もう一つは「なぜトヨタがサツドラHDと組んだのか」である。この二つの疑問を解き明かすと、デジタル技術で新しいサービスを作り出そうとしている全ての企業が参考にすべき要諦が見えてきた。

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