火力発電事業の東京電力フュエル&パワー(東電FP)は2016年10月、富津火力発電所(千葉県富津市)に米ゼネラル・エレクトリック(GE)のIoT(インターネット・オブ・シングズ)のプラットフォーム「Predix」を導入する(写真1)。Predixは、産業機器から大量のデータを収集して分析するクラウドサービスだ。東電FPは、東京電力ホールディングスグループの燃料・火力発電事業を担う事業会社だ。

写真1●富津火力発電所。4号系列にGEのクラウドサービス「Predix」を導入する
(画像提供:東京電力フュエル&パワー)
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 東電FPの狙いは、発電設備で発生する不具合をいち早く発見すること。同社の川島謙一郎経営企画室副室長は「事前に対処策を講じれば、計画外の停止などを防いでダウンタイムを減らせる」と語る。稼働率を向上させ、修繕費や燃料費を削減する。

 GEによれば、Predixを導入した海外の発電所では既に、1年当たり数億円単位の運用コストを削減する効果が得られたという。例えば、アイルランドのホワイトゲート発電所で導入したところ、約228万ユーロ(1ユーロ=114円換算で約2億6000万円)を削減できた。長時間のダウンタイムが発生する前に、燃焼状況の異常や発電設備の劣化などを検知し、事前に対策を講じれるようになった。

 富津火力発電所は最大出力504万キロワットで、国内最大規模。燃料はLNGガスを使っている。Predixを導入するのは「4号系列」だ。21基あるうちの3基で、2010年から運転しており、最も新しい発電設備だ。「富津火力発電所内では最も発電効率が高い」(川島副室長)。

 その他の系列は2003年以前に運転開始しており、4号系列に比べて発電効率が低い。4号系列が緊急に停止してしまうと、効率の低い発電設備の稼働割合が増えてしまい、燃費などの追加コストが発生してしまう、というわけだ。

温度、圧力、振動など数千項目をクラウド上で分析

 分析の対象となるのは、ガスタービン、蒸気タービン、発電機、排熱回収ボイラーなど。「温度や圧力、タービンの軸の振動などを調べる。分析するデータは合計で数千項目だ」(川島副室長)。稼働状況のデータをクラウド上に収集して分析する()。

図●東京電力フュエル&パワーのPredixの利用イメージ
(東京電力フュエル&パワー提供の資料を基に本誌作成)
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