総務省は10月7日、4月に運用を開始した「スマートフォンの端末購入補助の適正化に関するガイドライン」に違反したとして、携帯電話大手3社に行政処分を下した(写真1)。同ガイドラインに基づいた行政指導は、4月5日付でNTTドコモとソフトバンク(文章で是正を要請)、4月13日付でKDDI(口頭注意)に対してそれぞれ実施済み。今回は2回目に当たるため、厳重注意に報告徴求命令が付いた厳しい処分となった。同時に行政指導を受けた沖縄セルラー電話は「注意」にとどまった。

写真1●4月に運用を開始した「スマートフォンの端末購入補助の適正化に関するガイドライン」に違反したとして総務省は携帯電話大手3社に行政処分を下した
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 今回、問題となったのはクーポンによる割り引きである。一般向けのキャンペーンと違い、存在が目立ちにくく、配布してしまえば回収が難しい。「配った者勝ち」と問題を指摘する声が出ていた。事態を重く見た総務省は9月20日、9月23日を期限として、クーポンの配布状況に関する報告を携帯電話各社に要請。他の割り引きを含めた実質負担を精査した結果、実質0円に近い、または大幅に下回る事例を確認できた。

 総務省によると、NTTドコモは最大2万1600円引き(税込み)、KDDI(au)は最大1万円分の電子マネーのキャッシュバック、ソフトバンクは最大2万円分のポイント付与などのクーポンを郵便やメールで配っていた。この結果、NTTドコモで-2万952円(arrows Fitなど)、KDDIで400円(Qua Phoneなど)、ソフトバンクで-1万9568円(iPhone 6sなど)といった実質負担になっていた。iPhone 7に限定すると、NTTドコモは-1万1232円、KDDIは800円、ソフトバンクは-9848円になるという。

 総務省は携帯電話大手3社と沖縄セルラー電話に対し、不適切な端末購入補助の早急な是正を要請。そのうえで(1)是正結果、(2)原因ならびに他の不適切な補助の調査結果、(3)再発防止策――の3点の報告を求めた。

 さらに再発防止策が有効に働いているかどうかをモニタリングするため、スマートフォンの機種ごとの販売価格や端末購入補助(金額、適用条件)、販売奨励金(機種、契約種別、地域ごとの取り組みを含む)などを毎月報告させるようにした。2016年11月から2017年4月までの期間が対象で、該当月の前月末日までに報告する必要がある。「行政処分」となった携帯電話大手3社の場合、虚偽の申告を含め、報告しなければ30万円以下の罰金とした。

 販売奨励金については、従来も四半期ごとの報告義務を課していた。報告内容も全体の傾向を把握するための総額にとどまっていたが、今回は機種や契約種別ごとの細かい内訳が対象となる。携帯電話各社の販売施策が総務省に筒抜けになってしまうことを意味しており、かなり厳しい処分と言える。

 NTTドコモは今回、dカードのGOLD会員限定で配布していた「ケータイ購入ご優待券」が違反の対象となった。初年度は5000円、2年目以降はカードの利用額に応じて1万円(年間100万円以上)または2万円(年間200万円以上)のクーポンを年1回付与していた。クレジットカードは附帯事業であり、年会費が高いGOLD会員向けであれば真っ当なサービスと言える。

 だが、総務省にとっては、附帯事業でもガイドラインの抜け道となるような例外は一切認められないということのようだ。理由を聞くと、「他の役務/物品とのセット契約/購入に基づく割り引きも端末購入補助とみなすことをガイドラインで定義している」と説明するだけにとどまった。そうは言っても、NTTドコモは2012年から同クーポンを配布しており、総務省が前回の行政指導で指摘していれば、今回のような厳しい処分を受けずに済んだはず。KDDIやソフトバンクはともかく、“被害者”として同情の余地がある。

 いずれにせよ、総務省が10月13日から開催する「モバイルサービスの提供条件・端末に関するフォローアップ会合」を控え、携帯大手3社に厳しい処分が下った。今回に限らず、総務省は水面下で違反となる事例を見つけては携帯電話各社に注意することを頻繁に繰り返しており、“モグラ叩き”のような状況が続いていた。フォローアップ会合でガイドライン強化を打ち出す可能性が濃厚となってきた。

出典:テレコムインサイド 読者限定メールマガジン 2016年10月12日号
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