「うーん、この文字は僕には見えないな」「画面が切り替わったかどうか、これじゃあ分からない」。スマートフォンアプリの使いにくさを、容赦なく指摘するユーザー。その様子を、隣で真剣に見つめる開発者――。

 2016年9月28日、スマートフォンアプリのユーザーテストを公開型で実施するイベントが、東京・千代田区のヤフー本社で開催された。テストの実施者を務めたのは、視覚障害を持つ二人のユーザーだ。

 年齢や障害の有無などにかかわらず誰もが必要な情報にアクセスできるようにする、いわゆるアクセシビリティを高めるための取り組みは、Webサイトを中心にある程度進んでいる(関連記事:障害者差別解消法で求められるWebアクセシビリティ)。だが、Webサイトと比べればスマートフォンアプリのアクセシビリティ確保は遅れている。視覚障害者が実際にアプリを試用することで、スマートフォンアプリならではの課題が浮かび上がった。

どの部分をタップしてよいか分からない

 イベントは、アルファサード、ビジネス・アーキテクツ、ミツエーリンクス、ヤフーの4社が開催。いずれも、Webサイトやスマートフォンアプリの開発を手掛ける企業だ。アプリをテストする役目は、慶應義塾大学 政策・メディア研究科 特任助教の中根雅文氏(写真1)と、Cocktailzの伊敷政英氏(写真2)が担った。いずれもITに詳しく、中根氏はアクセシビリティ情報サイト「AccSell」を運営する。伊敷氏は、アクセシビリティのコンサルタントを務めている。

写真1●慶應義塾大学 政策・メディア研究科 特任助教の中根雅文氏
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写真2●Cocktailzの伊敷政英氏
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 イベントでは、この二人が初めて触れるスマートフォンアプリを試用しながら、感想を述べていった。テスト対象の一つとなったのが、ヤフーの「Yahoo!防災速報」。通知したい場所を登録しておけば、地震や豪雨などの災害情報を通知するアプリだ。中根氏と伊敷氏は、このアプリで「東京都千代田区」を通知場所に設定するというタスクに挑んだ。

 全盲の視覚障害を持つ中根氏は、スマートフォンの音声読み上げ機能を使ってアプリを利用している。iOSなら「VoiceOver」、Androidなら「TalkBack」だ。テストでは、VoiceOverを利用。スクリーン上のアイコンを触るとアプリや機能名が読み上げられるため、これを手掛かりにYahoo!防災速報のアイコンを探して起動する。

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