楽天は2017年9月26日、プラスワン・マーケティングが「FREETEL」のブランド名で展開するMVNO(仮想移動体通信事業者)事業、いわゆる「格安スマホ」の通信事業を買収すると発表した。手続きの完了は11月1日を予定し、「FREETEL SIM」のユーザーは楽天に承継する。FREETEL SIMのサービス自体に変更はなく、適用中のキャンペーンも継続するとしている。

 調査会社のMM総研によると、格安スマホ(独自サービス型)の市場規模は2017年3月末時点で810万回線。携帯電話全体(1億6273万回線)の5.0%を占める。格安スマホの市場シェアは楽天(楽天モバイル)が9.6%(78万回線)の3位、プラスワン・マーケティング(FREETEL SIMなど)が5.3%(43万3000回線)の5位である。単純に合算すると、楽天は今回の買収によりインターネットイニシアティブ(IIJ mioなど)をわずかに抜き、2位に踊り出ることになる。

格安スマホの市場シェア(2017年3月末時点)
出所:MM総研
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 格安スマホの市場は順調に拡大しているとはいえ、薄利多売で競争が激しい“レッドオーシャン”と化している。突然の買収劇に驚かされたが、業界関係者の間では「プラスワン・マーケティングの資金繰りが厳しく、経営破たんは時間の問題」と見る向きが多かったようだ。

「7月以降は身売り先を探していた」

 プラスワン・マーケティングの設立は2012年10月。「日本品質」を売りにしたスマートフォンの開発・生産で注目を集め、「2025年に出荷台数で世界一を目指す」(増田薫代表取締役)とぶち上げた。2014年10月にMVNOとして通信事業に参入し、2015年12月には端末販売の海外展開も始めていた。

 同社はヨドバシカメラが大株主となっており、2016年11月に第三者割当増資で42億1500万円の調達に成功。2017年3月には通信サービス(MVNO)と端末の組み合わせによる海外展開の強化に向け、総務省の官民ファンド(海外通信・放送・郵便事業支援機構、JICT)などから30億円を調達した。

 国内ではタレントを起用した派手な宣伝を展開し、独自店舗「フリーテルショップ」の大幅な拡大に乗り出すなど、競合他社も羨む“行け行けどんどん”ぶりだった。

プラスワン・マーケティングの発表会の様子(2016年11月)
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 そんな同社の雲行きが怪しくなってきたのは、2017年4月21日に消費者庁の行政処分を受けてからだ。消費者庁は「業界最速」や「シェアNo.1」といった同社の広告表示が優良誤認や有利誤認に当たる、として措置命令を出した。必ずしもこれだけが原因とは限らないが、「一気に資金繰りが厳しくなった」(業界関係者)とされる。

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