米アップルが、タブレット(多機能携帯端末)の法人市場開拓で矢を放った。切り札が、2015年11月に投入する12.9型液晶を搭載した新型「iPad Pro」。従来より画面を33%大型化し、店舗や営業現場で商品紹介などをしやすくした。受注時の文字入力や署名のサインをしやすくするため、iPadで初めてペン入力に対応させたほか、本体に装着可能な専用キーボードもオプションで用意している。

 背景にあるのがタブレット市場の成長鈍化だ。調査会社の米IDCによると世界タブレット市場は昨年10~12月期、iPadが登場した2010年以来初めて四半期ベースで前年実績を下回った。その後も前年割れが続く。ただ法人需要に限れば、2014年の国内市場が前年比56.7%増となるなど堅調。アップルはすでに米IBMと法人市場のタブレット拡販で協業しており、8月末には米シスコシステムズとの提携を発表したばかり。伸びしろのある法人市場でタブレット革命の継続を促す。

大きくなっても厚さは変わらず

写真●ペン入力も可能な新型タブレット「iPad Pro」
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 「薄くて軽くて、一日中持ち歩ける。あらゆる用途に理想的なデバイスだ」。9月9日(現地時間)、世界各国のメディア関係者を招いた製品発表イベントで、フィル・シラー上級副社長は最新型タブレットの出来映えに自信を示した。

 大型化しても厚さは6.9ミリメートルにとどめた。9.7型のiPad Air 2と大きく変わらず、可搬性に配慮した。プロセッサも最新の64ビット「A9X」チップを採用。処理性能はiPad Air 2より1.8倍速くなっている。シラー副社長は「ほとんどの部分でポータブル型のPCに勝っている」と法人利用に向くと太鼓判を押す。

 タブレット革命の仕掛け人である同社は、毎年高性能化と薄型・軽量化を推し進めてきた。ただ、人気ノートPC「MacBook Air」とのすみ分ける必要などから、大画面化には慎重だった。

 一方、米マイクロソフトが12型液晶を搭載した「Surface Pro 3」を投入するなど、競合が大型化に動いた。アイ・ティ・アールの調査によると、国内企業が社員に支給するタブレットはiPadが55.2%とダントツのシェアを握る。ただ今後の買い替え意向を尋ねたところ、Windows搭載製品を希望する声も少なくない。Windows 8については全体の30.4%で、iPadに次いで多かった。

 Surface Pro 3などを横目に開発した新製品は、iPadの系譜の延長線上にある正常進化版といった仕上がりになっている。85万種類以上あるiPad対応アプリが使えるのは当然として、新OSにより画面を分割利用する「Split View」と呼ぶ機能が利用できるようになった。

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