2014年8月27日、ケンコーコムは突如、創業者であり社長である後藤玄利氏の辞任の意向を発表した(写真1)。辞任表明理由について、ケンコーコムは「楽天グループとのシナジーを最大化することにより企業価値を向上させるのにふさわしい経営陣に移行するのが最善との判断により、当社代表取締役を辞任したい旨の意向表明がなされたものであります」と説明した。それでもあまりにも突然の退任の発表に、EC(電子取引市場)業界は騒然とした。

 これまで一般用医薬品のインターネット販売規制で国を相手に裁判を起こし、最高裁で勝利を収めるなど、日本のECにおけるケンコーコム、そして後藤社長の功績は大きい。正式な退任は新たな役員選任を目的に開く10月下旬の臨時株主総会となるが、突然の退任表明の裏にはどのような思いがあったのか。話を聞いた。

(聞き手は原 隆=日経コンピュータ


写真1●ケンコーコム創業者兼社長の後藤玄利氏。今年8月27日、突如、退任を発表した。(撮影:陶山 勉)
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突然の退任表明だったが。

後藤氏  もともと、どこかのタイミングで引き継がなければという話は僕が30歳のころから経営陣の中でしていた。今や僕は47歳になり、副社長は50歳を超えた。

 僕がケンコーコムの前身であるヘルシーネットを立ち上げてから次(今年)の11月で20周年を迎える。起業当時は有象無象のプレーヤーが乱立し、EC市場が勃興していた時期だ。たが、今はアマゾンがいて、日本には楽天がいる。そしてヤフーがどうEC市場で巻き返すかという構図になっている。つまり、EC市場はパワーゲームの様相を呈してきている。僕はこのステージにいても、十分な付加価値を出せない。このままではケンコーコムという会社自体に迷惑をかけてしまうと思った。(退任は)僕の一方的なわがままだ。

十分に付加価値を出せないとはどういうことか。

後藤氏  どうしても僕の視点はケンコーコムとしての最適化になってしまう。創業者だから。そうすると楽天グループとしての最適化との間で、様々な局面でトレードオフの関係になってしまう。

 僕は20年間、ファウンダーだった。頭の中では分かっていても、実際にできないことがたくさんあった。そうなると僕がこのままこの場所に居続けたら、経営のスピードが遅くなる。

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