集中豪雨や堤防の決壊などによる浸水が想定される区域について、国土交通省や各都道府県が河川ごとに作成したデータのうち、フォーマットが国交省のガイドラインに準拠しているのは全体の2割にとどまることが、日経コンピュータの取材で明らかになった。過半の河川では、ガイドラインに準拠しない独自のフォーマットで作成されていた。このため、国によるデータの一元管理や、公共データの活用を促進する「オープンデータ」としての公開ができない状態になっている(関連記事:オープンデータとは)。

 国内の河川を管理する国土交通省や各都道府県は、2005年に施行された改正水防法に基づき、全河川について浸水想定区域図の作成が義務づけられた。市町村はそのデータを基に、避難所や避難経路を分かりやすく図示した「洪水ハザードマップ」を作成、周知することが求められる。

 国交省は2006年9月、浸水想定区域図のデータを円滑に活用できるよう、データのフォーマットやファイル形式、作成手順を取りまとめた「浸水想定区域図データ電子化ガイドライン」を公開(画面)。浸水想定区域や想定される水の深さ、流速について、CSVファイルのデータ項目、フォルダ構成、ファイル命名規則を定めた。市町村による洪水ハザードマップの作成に活用するほか、ゆくゆくはインターネットなどへの公開、全国レベルの一元的な表示やデータ処理を想定していた。いわば、オープンデータの先駆けといえる施策だった。

画面●国交省が2006年9月に公開した「浸水想定区域図データ電子化ガイドライン」の一部
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 だが実際には、国交省地方整備局や各都道府県の多くは、ガイドラインに沿ったCSVデータを作成しなかったか、あるいは独自のフォーマットで作成していた。「ガイドラインの周知が不十分で、浸水想定区域図の作成業務をコンサルタントなどの事業者に委託する際の仕様書に、ガイドラインについて記載しなかった事例が多くみられた」(国交省 水管理・国土保全局 河川環境課)。

 国交省によると、データの作成対象となる河川の8割に当たる約1500の河川で、作成したデータがガイドラインに対応していなかったという。このうち、ガイドラインを公開した2006年9月以降にデータが作成されたのは、約1050河川。過半の河川で、ガイドライン公開後も、それに沿わない形でデータが作成されていたことになる。

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