三越伊勢丹が男性専門店「伊勢丹メンズ館」で、スマートフォンアプリを介したマーケティング施策を拡大する。着こなしのブログや館内イベント情報などのコンテンツ配信数を、年内にも倍増する。親近感の持てる着こなし記事を見た客の来店や、モデルが身に付けている商品を丸ごと購入する「マネキン買い」を誘発。Eコマースとの連携も近く始める。目指すのは対面や紙の礼状による伝統的な営業と、デジタルを使った時間と場所を問わない営業の融合だ。

デジタルマーケティングに手応えを感じる成川氏
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 「顧客がいつでもどこでも伊勢丹メンズ館を実感できる環境を、アプリを通じて提供したい」。こう語るのは紳士服などの営業を担当する成川央子氏。伊勢丹メンズ館の公式スマートフォンアプリを使ったデジタルマーケティング施策で目指す姿だ。

 三越伊勢丹が実施しているのは、オウンドメディアやO2O(オンライン・ツー・オフライン)、ECなど複数の施策を組み合わせたデジタルマーケティングだ。オウンドメディアとは企業がブログなどのコンテンツを自ら企画・編集・作成して掲載するメディアのことだ。

 同社が最も注力しているのが、このオウンドメディアを使った情報発信だ。現在、毎月120~140本作成、配信している記事を、年内にも倍増する。伊勢丹メンズ館のほかにも、新宿の店舗の情報を配信する。

店員の「身長、年齢」で親近感、マネキン買い誘発

 現在のコンテンツの内容は、商品の着こなしを写真中心に紹介する「スナップ」や店員のお薦め商品を紹介する「レコメンド」、イベント情報や新着情報など。コンテンツ配信で心掛けているのは、顧客に「親近感を持ってもらうこと」(成川氏)だ。

 例えばスナップでは、店で実際に売っている商品を、プロのモデルではなく店員が着こなして写真を撮る。商品の情報に加えて店員の身長や年齢も記載。記事を見た客が、自分で着られるかどうか参考にするためだ。

 「これ、丸ごとください」。実際、アプリで記事を見た顧客が店に来て店員にアプリを見せながら、こう要求することが増えたという。いわゆる「マネキン買い」を、スマホアプリで誘発しているわけだ。

 オウンドメディアによる誘客を後押しするのが、ビーコンを使ったO2O施策だ。GPS(全地球測位システム)を使って伊勢丹メンズ館の周囲500、600メートル、「ちょうど新宿駅くらい」(成川氏)の範囲にいるアプリ利用者を検知。イベントや新商品の情報を配信する。

 今後、力を入れるのがECとの連携だ。アプリ内で店員が身に付けている商品を、丸ごとECで購入できるなど、東京以外に住んでいて来店しづらい顧客にも販売機会を広げる。

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