手間の掛かるテストは人工知能(AI)に任せる――。そんな時代が現実的になってきた。スタートアップ企業のTRIDENTは、AIを活用してスマートフォンアプリのシステムテストを自動化するクラウドサービス「Magic Pod」の提供を開始する。2017年7月24日にベータ版を一般公開した。「1年以内に正式版をリリースする」(伊藤望社長)。

TRIDENTが開発したAIを活用したシステムテスト自動化ツール「Magic Pod」
出所:TRIDENT
[画像のクリックで拡大表示]

 海外でもテスト自動化にAIを活用する動きが進む。米マイクロソフトは今夏の終わりに、セキュリティ上の問題を引き起こすバグや脆弱性をテストで検知するクラウドサービス「Microsoft Security Risk Detection」の提供を開始する。現地時間2017年7月21日にブログに投稿した記事で発表した。既にプレビュー版を公開している。

 Microsoft Security Risk Detectionでは「バグを見つけ出す推論プロセスの自動化にAIを利用している」と同社のブログで紹介している。このサービスでは検査対象のソフトウエアに対し、問題を引き起こしそうなデータを大量に送信して、データへの応答や挙動から脆弱性を検出する。危険な領域の掘り下げにAIを活用する。

「Microsoft Security Risk Detection」のWebサイト
出所:米マイクロソフト
[画像のクリックで拡大表示]

 両サービスが提供するテスト内容は異なるが、AIを活用するという点は共通だ。AIで専門性のハードルを下げ、より多くの人が簡単にテストを行えるようにしようとしている。Magic Podはプログラミングスキルがなくても、システムテストを自動化できるようにする。Microsoft Security Risk Detectionはセキュリティの専門家でなくても、テストでバグや脆弱性を検出できるようにする。

 これまで、AIはコールセンターのオペレーター支援や自動車の自動運転、株の自動売買など、ビジネスや製品、サービスでの活用事例、アイデアが多かった。続々と登場したソフトウエアのテストにAIを活用するサービスは、ITエンジニアの仕事にAIが進出してきた先行的な例といえる。

テスト自動化からプログラミングスキルを不要に

 Magic Podでは、AIによる画像解析がサービスの要となる。画像解析により、アプリの画面、テスト対象のソフトウエア、テスト手順を簡単に関連付けられるようにした。テスト手順はマウス操作のみで作成でき、「プログラミングせずにシステムテストを自動化できる」(伊藤社長)。

 システムテストの実行を自動化するツールは以前から存在した。スマートフォンアプリ向けの「Appium」、Webアプリケーション向けの「Selenium」がその代表格だ。ただ、大きな課題があった。テスト手順をプログラムとして記述する必要があるのだ。プログラミングスキルがないと扱えず、利用が進まない現場も多かった。

 伊藤社長によると、既に140社からMagic Podのベータ版の利用申し込みを受けているという。「大きい会社から小規模な会社まで幅広い。自社サービスを持っている企業からの問い合わせが多い。リリース頻度の高い自社サービスはテスト自動化の恩恵が大きい」と話す。

この先は会員の登録が必要です。今なら有料会員(月額プラン)は12月末まで無料!

日経 xTECHには有料記事(有料会員向けまたは定期購読者向け)、無料記事(登録会員向け)、フリー記事(誰でも閲覧可能)があります。有料記事でも、登録会員向け配信期間は登録会員への登録が必要な場合があります。有料会員と登録会員に関するFAQはこちら