米アマゾン・ウェブ・サービスや米グーグル、米マイクロソフト、米IBMや国内事業者が相次ぎクラウド型の人工知能(AI)サービスを提供し、覇権争いを繰り広げている。初期投資が少なくて済むメリットを生かし、人材と予算がふんだんな大企業ばかりではなく、中小企業にも活用の裾野が広がってきた。

AWSがユーザー事例を公表

 アマゾン ウェブ サービス ジャパンは2017年7月31日に記者会見を開き、「Amazon Web Services(AWS)」で提供する機械学習サービスの国内導入事例を紹介した。文章を音声に変換する「Amazon Polly」と画像認識に特化した「Amazon Rekognition」の2つの機械学習サービスはいずれも学習済みの深層学習モデルをAPI(アプリケーション・プログラミング・インタフェース)から利用できるマネージドサービスだ。

 説明会の冒頭、同社の岡嵜禎技術本部長は「当社が持つ機械学習の技術を外部から簡単に使いたいというAWSユーザーの声に応えた」と両サービスを開発した理由を話した。「AWSの機械学習で成果を上げる企業が出てきた」(岡嵜本部長)。

アマゾン ウェブ サービス ジャパンの岡嵜禎技術本部長
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 Amazon Pollyは文章を音声に変換する「Text-To-Speech(TTS)」のサービス。24の言語で収録した合成音声を提供するもので、機械学習によってより人に近い発音を期待できる。これをFMラジオ放送に利用するのが和歌山県のコミュニティ放送局である特定非営利活動法人のエフエム和歌山だ。2017年7月1日から「ナナコ」と名付けた“AIアナウンサー”が自動音声でニュースと天気予報を読み上げている。エフエム和歌山の担当者によれば、AIを利用したTTSによるラジオ放送は前例が無いという。

 ラジオ放送にTTSを導入する背景にはアナウンサー不足があるという。一般に、放送エリアの小さいコミュニティ放送では金銭的な理由から人手が思うように集まらない。Pollyの導入により、エフエム和歌山は深夜や早朝などアナウンサーを確保しにくい時間帯にもニュースや天気予報を提供できるようになった。

 音声読み上げシステム「ONTIME PLAYER」はエフエム和歌山の職員が開発。いくつかあるAIクラウドサービスから価格面で優位だったPollyを採用した。ニュースや天気予報の原稿をPollyに入力するのに適したフォーマットに整形、サーバーのデータベースに保存しておく。放送時間になると、放送用のPCがサーバーから原稿を取り出してPollyのAPIにアクセス、音声を再生・放送する仕組みだ。今後同局は災害放送の無人化も視野に入れているという。

エフエム和歌山が開発した音声読み上げシステム「ONTIME PLAYER」の画面
(出所:エフエム和歌山のニュースリリース)
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