仮想通貨「ビットコイン(Bitcoin)」の分裂騒動が大きく報じられている。ビットコインは個人間送金や決済手段として注目を集めており、日本でも2017年4月から改正資金決済法が施行されたことで通貨として信頼性が高まったことを受け、決済手段として利用可能な小売店が増え始めている。

 だが分裂騒動が起きたことで、分裂が発生する8月1日の混乱を避けるために日本仮想通貨事業者協会に属するビットコイン交換事業者らが連名で同日以降の取引を中止することを発表したほか、一連の騒動で6月上旬のピーク期からビットコイン価格は4分の1程度下落するなど、日本経済新聞では4兆円相当の時価総額が失われたと報じている。

 一連の騒動を聞いて「仮想通貨の分裂騒動とは?」「どんな影響があるのか?」と疑問に思う人は多いだろう。今回のような分裂騒動が起こった背景、問題の根幹である「UASF(User Activated Soft Fork)」というキーワードの意味、そして今後何が起こるのか解説する。

問題の発端はビットコインのスケーラビリティ

 ビットコインが「ブロックチェーン(Blockchain)」と呼ばれる技術を使って取引台帳を分散管理し、従来の中央集権型取引とは異なる仕組みのネットワークで維持されていることは広く知られている。ブロックチェーンとは、例えばAからBへとビットコインが送信された複数の取引内容を記録したものを一定時間単位でまとめて「ブロック」とし、この直前のブロックの取引内容を含む形で次のブロックへと引き継ぐ、つまり「連鎖(Chain)」させることで取引全体を管理している。

ブロックチェーンの概念図
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 もし取引内容を改ざんしようと試みたとしても、過去にさかのぼってブロック内のデータを変更する必要があり、膨大な計算が求められることから現実的ではない。それがブロックチェーンの取引は安全性が高いという理由の1つだ。

 一方で、ブロックチェーンの維持には大量の計算が必要となり、そのために大量のコンピュータノードが投入されてネットワークの維持に努めている。ブロックの生成に貢献したノードには一定額のビットコインのほか、取引処理された送金手数料が報酬として支払われる。そのため、このブロック生成作業を採掘になぞらえて「マイニング(Mining)」、ノード提供者を「マイナー(Miner)」と呼ぶ。

 だが現在、ビットコインのブロック生成に並のコンピュータ処理能力では追い付かず、ネットワークに参加するのは難しくなっている。このため大手事業者が送金手数料を目的に多くの資本を投入してマイナーとして参加したり、「マイニングプール」と呼ばれる一種のマイナーの共同組合が参加者を募り、ノードを提供したユーザーらの間で報酬を分配するというスタイルが一般的になっている。

 マイニングがビットコインのネットワークを維持する根幹という理由もあり、近年では特に大手マイニングプールが発言力を持つ傾向がある。最大手のマイニングプールは中国を拠点とするBitmainが運営する「Ant Pool」で、およそブロック全体の15%をカバーする水準にあるといわれる。

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