スタートアップ企業などの力を借りて、新規事業開発に取り組む大企業が相次いでいる。セブン銀行は次世代ATM(現金自動預け払い機)の開発で、コニカミノルタは「臭い」を見える化する新事業の立ち上げで、それぞれ特殊なノウハウを持つスタートアップと組んだ。

 両社が目指すのは、外部企業と幅広く連携する「オープンイノベーション」の実現にある。これまでにないアプローチで事業を創出する動きがほかの大企業にも広がりそうだ。

次世代ATMに関するオープンイノベーションプロジェクトを担当する 松橋常務執行役員(左)と山本執行役員(右)
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 「当社のビジネスを新しい領域に広げるシード(種)を見つけられた」。セブン銀行の松橋正明常務執行役員は、こう語る。同社は現在、第4世代に当たるATMを開発中。現行の第3世代機は今年9月ごろまでに全国2万3000台の展開を終える見込み。その後継となる機種で、2020年ごろの稼働を視野に入れる。

欲しかったのは「海外の知見」

 第4世代ATMの開発に当たって重視しているキーワードの一つが、「海外」だ。訪日外国人が多様な観光情報を手に入れたり容易に決済したりする役割を担わせようと考えている。例えば外国人居住者が、就労手続きや給与受け取りの窓口として利用可能にする。日本人だけでなく、外国人にとっても便利な生活拠点にコンビニを位置付けようというわけだ。

セブン銀行のATM
(出所:セブン銀行)
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 構想の実現に向けてセブン銀行は、2社のスタートアップ企業の力を借りる。その1社が福岡市に本拠を構えるドレミングアジアである。2015年6月設立で、新興国の労働者向けに金融・決済サービスを開発している。

 毎月の給与の手取り額までを上限に、携帯電話を使って買い物の支払いができるサービスなどを手掛ける。新興国の労働者や出稼ぎ労働者の間では給与の前借り需要が大きいが、雇用主にとっては給与計算の手間が増えるのでやりたくないのが本音。労働者の給与を働いた分だけ計算し、月額払いであってもいつでも受け取れるようにする。「労使共に利点がある」(ドレミングアジアの桑原広充社長)。

 もう1社のResidenceは、留学ビザや就労ビザの申請業務を代行するネットサービスを手掛ける。日本で働きたい外国人が必要事項を記入すると、申請書類を自動的に作成。同社が契約している行政書士が、入国管理局へ出向いて申請を代行する。本人確認を含めて、全ての業務をネットで完結させる。

 セブン銀行が2社のノウハウに着目したのは、来店客としてだけでなく店舗で働く外国人の従業員にも役立つと考えたからだ。慢性的な人手不足に悩むコンビニ業界にとって、外国人は働き手の候補だ。働きながら店舗内のATMを通じて様々なサービスが受けられる点をアピールして働き手としてつなぎ止められれば、人材不足解消の一助になるとみる。2社のサービスを第4世代ATMへ生かすことも視野に、共同開発に挑んでいる。

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