働き方改革の一環として、企業で働く社員の「副業」に注目が集まっている。副業は新たな収入源の確保、転職しなくても新しい仕事にチャレンジできるといったポジティブな側面がある。一方、過重労働や本業と副業での利益相反といった懸念もある。

 政府の「働き方改革実現会議」の実行計画(骨子案)では、「副業・兼業の推進に向けたガイドライン等の策定」が示された。「具体的な中身は検討中」(厚生労働省)という段階だが、副業・兼業禁止規定が存在するモデル就業規則の見直しも進みそうだ。副業は解禁される方向と考えていい。

 副業解禁にはどういったインパクトがあるのか。二つの視点から見ていこう。一つはITプロフェッショナル個人にとってのインパクト、もう一つは企業側にとってのインパクトだ。さらに、日経SYSTEMS編集部が独自に調査した大手IT企業の“副業解禁状況”も公開する。

少ないリスクで新しいことに挑戦できる

 「新しいことをやりたいと思っている人が、少ないリスクで挑戦できる」。2017年1月から副業を始めた松森知里氏は、個人にとっての副業解禁のインパクトをこう話す。

松森知里氏(サイボウズ 営業本部 関西営業部 兼 レプタイル コラボ部)
(出所:サイボウズ)
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 松森氏の本業はサイボウズの関西営業部に所属するITエンジニアだ。パッケージソフトやクラウドサービスの導入について、顧客企業への技術支援に従事する。副業として、岡山県のWebデザイン会社であるレプタイルから個人として業務委託を受けている。具体的には、レプタイルが運営する小中学生向けプログラミング教室のアドバイザー、社内業務のシステム化のコンサルティングを請け負う。

 松森氏は2014年4月にサイボウズへ中途入社した。「当時は副業など考えたこともなかった」(松森氏)。状況が変わったのが2016年4月。家庭の事情で実家のある岡山県に戻らなければならなくなった。上司や青野慶久社長に相談したところ、「普段は岡山県の自宅でリモートワークをして、週に1回大阪府にある関西営業部に出社する」という働き方に変わった。仕事の時間は週5日間フルタイムで、東京時代と変わらない。

 岡山県に戻った松森氏を待っていたのは、仕事を通じて感じる“温度”が東京とずいぶん違うことだった。「東京への一極集中を実感した。地方でも東京のような刺激、スピード感で仕事をしたりする環境を作れないかという問題意識を持った」(松森氏)。

副業でプログラミング教室の運営

 2016年5月に転機が訪れる。岡山県主催のベンチャー企業支援イベントで、レプタイルの経営陣と知り合ったのだ。同社は「岡山県北の求人情報サイト」「起業者向けシェアオフィス」「小中学生向けプログラミング教室」など地域活性化に関わる事業にも熱心だった。松森氏はプログラミング教室にサイボウズのクラウドサービス「kintone」を使えないか、という相談を受け、一緒に仕事をするようになっていった。

 松森氏は2017年1月、レプタイルの副社長から「本格的に副業として携わってもらえないか」という相談を受けた。プログラミング教室事業を拡大するため、講師となるエンジニアの紹介などのアドバイザーとして入ってもらいたいという依頼だった。サイボウズの上司に相談したところ、「良い話だと思うので受けた方がいい。ただし、情報はオープンにすること」という回答だった。

 現在、松森氏は平日はサイボウズでフルタイム働きつつ、有給休暇を利用して月1回レプタイルに出社するという生活を送っている。このほか、平日の終業後にレプタイルの仕事に関する作業をすることもあるという。

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