患者が会計を終えるまで長時間待たされる、後日支払うよう求められる――。東京大学医学部附属病院の外来窓口で2018年初から混乱が続いた。トラブルの元は電子カルテシステムの刷新にあったことが日経コンピュータの取材で分かった。

 東大病院は富士通に開発を委託し23年間利用した独自仕様の電子カルテシステムを刷新し、富士通の最新パッケージ「HOPE EGMAIN-GX」を導入。2018年1月2日に本稼働させた。だが外来診療を始めた4日以降、外来窓口が数日にわたり混乱。会計で長時間待たされたり、後日支払うよう求められたりする患者が続出した。

 システム移行を担当する企画情報運営部長の大江和彦教授はトラブルについて、旧システムとの「操作性の違い」を周知できていなかったことや「富士通によるデータ移行作業の手順ミス」などを挙げた。日経コンピュータの取材に広報部門を通じて回答した。

 東大病院は2017年10月から12月末にかけて、全職種の職員を対象に繰り返し操作研修会やeラーニングを実施したとする。しかし、新システムは使い勝手が大幅に変わったうえに必要な情報が一部表示されず、医師や事務担当者の間で混乱が広がったようだ。

図 会計処理が大幅に遅れたトラブルの原因
電子カルテの新たな操作方法を徹底できず
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担当医が医療保険を選ぶ必要が

 新システムは担当医が外来患者の電子カルテを開く際、患者ごとに医療保険の種別をプルダウンメニューで選ぶ必要がある。大江教授によると、新システムは保険情報を取り扱うコンセプトが変わり、「(医師など)利用者が患者のカルテを開く場面で一度は保険を正しく手動で選択する必要がある」という。従来は血液検査などを指示する際に選択した保険の種別が保存されて自動使用できたとする。

 だが関係者によると「担当医は通常、患者の保険種別は把握していない」。診察を始めたい担当医のなかには、電子カルテを開くためメニューの上位にある保険種別を機械的に選んだり、該当する保険を見つけられず全額自己負担の自由診療を選んだりと、正しくない操作をする医師も現れた。担当医が電子カルテに入力すべき項目の入力漏れも相次いだ。結果、会計の際に事務担当者が担当医に問い合わせる、患者に診察室へ戻ってもらい担当医が入力し直すといった事態が頻発した。

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