米国政府機関の中でもパブリッククラウドサービスのAmazon Web Services(AWS)を早期に採用した米航空宇宙局(NASA)。現在では、土星探査機や火星探査ローバーから送られる画像を、AWSの仮想マシンサービス「Amazon EC2(Elastic Compute Cloud)」などを使って処理し、火星の地形のパノラマ画像や立体視データを生成する。20万枚におよぶ土星探査機からの画像を数時間で処理できるという。

 AWSが提供する学習済みAI(人工知能)の利用にも積極的だ。次世代を担う学生などの研究意欲を刺激するため、火星探査に関する情報をテキストや音声によるチャットで一般向けに提供するボット「ROV-E」を開発した。ROV-Eの機能は、AWSの自然言語処理AIサービス「Amazon Lex」が核となる。

ROV-EのWebサイト
(出所:NASAのサイト)
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 NASAで無人探査機などの研究開発や運用に携わるジェット推進研究所(JPL=Jet Propulsion Laboratory)に所属し、CTO(チーフテクノロジー・アンド・イノベーションオフィサー)を務めるトーマス・ソダーストロム氏によると、NASAはAWSを使い始めて10年以上になるという。AWSを活用する理由は大きく三つある。

拡張性、俊敏性、初期コストを評価

 一つは拡張性だ。「NASAは、通常の衛星に比べて100倍のデータを生成する2基を含む、約30基の衛星を打ち上げている。それらから送られるデータ量は自前のデータセンターでは収まり切らない」(同氏)。

 二つめは俊敏性。ソダーストロム氏は「新しい宇宙船の打ち上げ用に60台のサーバーが必要になった際、従来なら1カ月を要したが、AWSを使ったために1人の担当者が週末に作業するだけで終えられた」と話す。

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