フリマアプリ最大手のメルカリがフリマ以外にも成長の道を求め始めた。2017年11月以降、不要品の即時買い取りに動画を使った企業商品のネット通販、スキル売買といった新サービスを発表した。相次ぐ新サービスを可能にするのが同社の技術戦略だ。2年で5倍に急拡大したエンジニア組織をテコに人工知能(AI)などの技術開発を加速。外部機関と共同の研究開発組織も立ち上げるなど、フリマにとどまらない競争力強化へ「テックカンパニー」としての基盤を固めを急ぐ。

 「売りたいモノが1秒でお金に変わる、フリマじゃないメルカリ」「法人企業が利用できる特区」「知識やスキルもモノと同じく簡単に教えたり学んだりできるように」――。スマートフォン(スマホ)を使って個人間でモノを手軽に売買するフリーマーケット(フリマ)アプリとして急成長したメルカリ。同社がこの1~2カ月で発表したサービスは、いずれもフリマとは異なる。

メルカリが最近発表したサービス関連のWebサイト。左上から時計回りに「メルカリNOW」、法人向け「メルカリチャンネル」、「teacha」
(出所:メルカリ)
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 2017年11月27日に不要品の即時買い取りサービス「メルカリNOW」を開始。利用者が出品した品物はメルカリ子会社のソウゾウが買い取る。現在は約1400ブランドが対象で、買い取りの総額は1日当たり1000万円だ。同12月1日には企業が自社商品を生中継の動画で示しながら販売できるサービスを始めた。個人が生中継動画で商品を説明・販売するサービス「メルカリチャンネル」を企業にも開放。当初はネスレ日本や女性向けアパレルの夢展望など11社が参加した。2018年春にはソウゾウを通じて、語学や習い事といったスキルや知識を個人間でやり取りするスキルシェアサービス「teacha」を始める。

経済圏を拡大へ

 フリマ以外のサービスを相次いで投入することで目指すのは利用者の裾野とメルカリ経済圏をともに拡大することだ。例えばメルカリNOWの意義について、プロダクト(サービス)担当の伊豫健夫執行役員は「売り買いに手間がかかるイメージからメルカリをまだ使っていない人たちへと、メルカリの世界観を広げること」と説明する。

 世界で1億ダウンロードを超えたメルカリの既存利用者は主婦や若い女性層が中心。「メルカリ利用者の半数が、売ることを前提に商品を買うようになっている」(同)など、これまでの中古品市場とは様相の異なる独自の二次流通市場を形成した。商品の半数は出品から24時間以内に売れているという。

 一方で「売れやすいとはいえその時間すら持てなかったり、やり取りに手間が掛かるイメージを持っていたりという利用者層が相当数いることも分かった」(伊豫執行役員)。メルカリよりさらに簡単に売れるメルカリNOWを通じて「多様な選択肢を用意したい」(同)。メルカリ未経験者や初心者が抱く心理的なハードルをメルカリNOWで下げて、本丸のメルカリの利用を活性化したい考えだ。

AI開発に注力

 経済圏拡大へ相次ぎ新サービスを投入できるのは技術戦略の充実に力を注いでいるからだ。メルカリのITエンジニア組織は現在120人超。この2年で5倍に増えた。日本、米国、英国にそれぞれ開発拠点を設置。ITエンジニア組織を統括する柄沢聡太郎執行役員(現社長室)は「3つの拠点で24時間、どこかで新規開発が行われている」と話す。

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