写真●米ガートナーのジム・タリーVP兼最上級アナリスト
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 「IoT(Internet of Things)の本質は、コスト削減よりもむしろ収益を生み出す道具だ」。米ガートナーのジム・タリーVP兼最上級アナリストは、IoTの意義をこう語る。タリー氏はガートナーでIoT分野のリサーチを統括。同社が提唱する次世代の企業像であるデジタルビジネスを実現する上で、IoTは必須要素とする。IoTの現状と先行き、IoTを事業変革に生かす勘所を聞いた。

(聞き手は玉置 亮太=日経コンピュータ


IoTの広がりをどうみていますか。

 利用状況や技術開発など、業界全体がまだ初期段階にあると言える。先進企業による活用例も登場し始めているが、大半のソリューションはまだ実用化されていない。成長曲線で言えば、まだ最初の段階だ。

 その分、将来の成長余地は大きい。2014年末の時点で、インターネットに接続されている全世界の機器は37億個。これが2020年までに250億に増えるとみている。つまり年間平均35%で成長する。IoT関連の業界も、40~70%という効率で成長するだろう。

IoTは企業や社会にどのようなインパクトをもたらすのでしょう。

 全体から見れば少数だが、先進企業での活用例は登場している。代表例が製造業だ。センサーを使って、製造工程を効率化したり在庫状況を精緻に把握したりするといったものだ。

 具体例の一つが、世界最大級の資源会社である英豪リオ・ティントだ。同社は無人運転のトラックを活用し、鉱山の掘削作業を自動化して24時間稼働を可能にした。結果、掘削にかかわるコストを年間1億ドル削減した。

 小売業界の関心も高い。スーパーストアが店舗内の設備の運営効率を高める、といった用途だ。あるスーパーは保冷設備のドアにあるゴムパッキンの劣化状況を監視する予防保守にIoTを活用。年間で2000万ドル規模のコスト削減を実現した例もある。

 その他、インターネットにつながった自動車である「コネクテッドカー」で部品の保守を効率化したり、電力やガスといった公共部門のスマートメーターなども、IoTの好例だ。

これらの事例に共通することは何ですか。

 コスト削減が主目的であることだ。具体的な背景はそれぞれ異なるものの、現状のIoT導入事例は作業の効率化や既存資産の有効活用など、コスト削減を目的としたものが多い。

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