デジタル・ビジネスを成功させるキーワードは、「エコノミクス・オブ・コネクション」だ。「つながりの経済性」、つまり企業や人、モノやコトがすべて繋がる世界で、アルゴリズムを持って経済活動を生み出す仕組みのことである。いわばデジタル・ビジネスの「稼ぐ力」と言い換えてもよい。稼ぐ力を決めるのは「つながりの密度」。密度が高いほど、経済活動も大きくなる。

 では、どうすればその密度を高めていけるか。3つのステップが必要だ。「give」「take」「multiply」だ。「give」とは与えることで、自社の持っている経営資源をオープンにし、他社と共有することである。「take」は他社の経営資源を使わせてもらうこと。3番目の「multiply」は掛け算の意味で、ここではgiveとtakeにより、さらに自律的な相乗効果が生み出されることだ。

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写真●米ガートナー リサーチ 日本統括 バイス プレジデント 山野井 聡氏
(撮影=下玉利 尚明)

 giveの実例としては、米テスラモータースがある。同社は充電スタンドの特許を公開し、技術をオープンにすることで業界標準を握ろうとしている。業界標準を巡る競争では、このような特許開放戦略をとることは珍しくはない。

 また米ゴールドマンサックスは、トレーディングのアルゴリズムを公開しようとしている。クライアントにアルゴリズムを使ってもらうことで、日常のオペレーションレベルにまで踏み込んだ「密接な関係」をそのクライアントと作り上げることが狙いだ。同社にとってはgiveが、顧客のロイヤリティを高める成長戦略なのである。

 これらに共通しているのは、プラットフォームビジネスを目指していることである。プラットフォームを制することこそがデジタル・ビジネスの基本。そのための第一歩がgiveである。

 今後2018年までには3社に1社が、自社の情報資産を商材にしてビジネスをすることになるだろう。スモールスタートで構わない。何か一つでもデータやアプリケーションで、公開できるものを探し、実際に検討してみるべきだ。それによって何が始まるか。それがデジタル・ビジネスの第一歩である。

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