米Oracle社は、定番の仮想化ソフト「VirtualBox」の新版「5.0」を2015年7月9日にリリースした。「準仮想化」機能を搭載により、ゲストOSの動作速度や時計機能の正確さの向上が期待できる。ゲストOSとしてUbuntu 15.04を入れて動作速度をテストすると、約1割速くなった。

 「Oracle VM VirtualBox」のメジャーバージョンアップは、2010年12月以来、およそ4年半ぶりになる(図1)。UIに大きな変化はないが、性能とセキュリティに関する新機能が多数盛り込まれている(表1)。

図1●ViturlBox 5.0のUbuntu版
図1●ViturlBox 5.0のUbuntu版
表1●VitualBox 5.0の主な強化点
表1●VitualBox 5.0の主な強化点

 注目機能の一つが準仮想化(Paravirtualization)機能への対応だ。準仮想化は、仮想環境で動かすことを目的に、ゲストOSの一部を修正してから利用する方式。VirtualBox 5.0の設定では、ゲストOSがWindows系やFreeBSDなら「Hyper-V」、Linux系なら「KVM」、OS Xなら「Minimal」を選ぶ(図2)。

図2●準仮想化の設定画面
図2●準仮想化の設定画面
ツールバーの「設定」ボタンを押し、「システム」の「アクセラレーション」タブで「準仮想化インターフェース」を選ぶ。Linux系OSをゲストOSにする場合は「KVM」にする。

「4.3」から約1割速くなる

 5.0でどの程度性能が向上したかを調べるため、ゲストOSにUbuntu 15.04 日本語 Remixをインストールした状態で、「UnixBench」によるベンチマークテストを実施した。

 ベンチマーク結果では、VirtualBox 4.3から5.0にバージョンアップすると約1割速くなった(表2)。一方、VirtualBox 5.0で準仮想化をオン/オフしたときの総合的な性能(Index Score)の向上はわずかだった。CPU使用効率の向上など、準仮想化以外の新機能が速度向上に貢献しているようだ。

表2●UnixBenchでの比較
表2●UnixBenchでの比較
Core 2 Quad Q6600(2.4GHz)、メモリー6Gバイトのパソコンで、ホストOS、ゲストOSともにUbuntu 15.04 日本語 Remixをインストールした状態でテストした。ゲストOSでは、CPUの個数を2個、メモリーを2Gバイトに設定している。数値はすべて大きい方が高速だ。
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 両者のベンチマーク結果の詳細を見ると、「Pipe-based Context Switching」の結果が約1.6倍と目立って向上していた。この値は、CPUが処理するプロセスを切り替える際の速度を示す。準仮想化を有効にしていると、さまざまな処理を切り替えながら実行するマルチタスク処理では効果がありそうだ。

 VirtualBox 5.0にはこのほか、USB 3.0のサポートや仮想ハードディスクの暗号化などの機能が加わっており、設定画面の項目配置は多少変化した(図3)。

図3●USB 3.0にも対応
図3●USB 3.0にも対応
設定画面の「USB」を開くと、USB 1.1~3.0まで選択できるようになった。

 VirtualBox 5.0をインストールするには、ダウンロードサイトで、利用中のディストリビューションに合ったパッケージをダウンロードする。Ubuntuの場合は、ダウンロードしたファイルをダブルクリックすれば、Ubuntuソフトウェアセンターが開いてインストールできる。

 既にVirtualBox 4.3をインストールしている場合は、事前に削除しておく必要がある。

出典:日経Linux 2015年9月号 p.9
記事は執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。