2017年9月、米国と欧州を直結する大西洋間海底ケーブル「MAREA」の敷設工事が完了した。FacebookとMicrosoftが主導する共同プロジェクトによるものだ。陸揚げ地点は、米国側がバージニア州バージニアビーチ、欧州側がスペイン・ビルバオである。ちなみに、MAREAはスペイン語で「潮」を意味する。

 海底ケーブルは世界中に400以上あり、MAREAもそのうちの1つに過ぎない。しかし、これは単なる海底ケーブルではなく、今後のインターネットの在り方を示唆している。本稿では、最近の海底ケーブルの動向から見えてくるトレンドの変化を概観する。

MAREAの敷設ルート
出所:TeleGeographyなどのデータを基に情報通信総合研究所が作成
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海底ケーブルを巡る3つの変化

 昨今、クラウドで提供されるサービスや機能に関するニュースや話題に事欠くことはない。クラウドにはインターネットを通じて世界中からアクセスが集まるが、そのトラフィックのほとんどが海底ケーブルを経由する。

 海底ケーブルの歴史は意外と古い。電報の時代である19世紀半ばから利用されており、資本主義の発展に伴って世界中に張り巡らされてきた。インターネットの時代となった今はさらにバックボーンとしての重要性が増し、海底ケーブルによって大陸同士が文字通り結ばれている。しかし、深海にこのような重要なインフラがありながら、それを巡って何が起こっているかが認識されること稀だ。

 実は現在、海底ケーブル市場はちょっとしたブームの様相を呈している。というのも、海底ケーブルを巡ってはここ数年、大きな変化が起こっているからだ。その変化とは、(1)投資主体の変化、(2)敷設ルートの変化、(3)トラフィック流通の変化——の3つだ。

投資主体の変化:通信事業者からコンテンツ事業者へ

 19世紀半ばから海底ケーブルには基本的に通信事業者が投資してきた。例えば、欧州、北アフリカ、中東、アジア、豪州を結ぶ「Sea-Me-We3」という世界最長の海底ケーブルがあるが、これには日本のKDDIを始め、英国のBT、フランスのOrange、シンガポールのSingtelなど合計50社以上の通信事業者が共同出資している。約39,000kmに及ぶ全長と39カ所の陸揚げ地点を持つSea-Me-We3は1999年に稼働開始となっている。また、2003年から運用されている欧米間を結ぶ「Apollo」は英国のVodafoneが敷設したものだ。

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