日本をはじめ世界中で、モバイルによる高速ブロードバンドアクセスが普及しつつある。消費者にとって固定通信とモバイル通信は代替可能になる。規制当局が固定だけを規制対象とし続けることは正しいのだろうか。アクセス市場の規制が撤廃されたオーストリアを例に、固定・モバイル融合市場の規制について考察する。

 オーストリアは世界で最もモバイルブロードバンドが安価な国として知られている(Measuring the information society、ITU、2013年)。実際、オーストリアのブロードバンド市場でのモバイルの存在感は大きい(図1)。2009年から2010年の間、モバイルの普及に押されて固定ブロードバンドが絶対量で純減したと言われるほどだ。

図1●オーストリアにおけるアクセス技術のシェア
モバイルの影響力が年々増している
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 そのオーストリアでは、卸売固定網が規制対象から外されている。同国の規制当局は2009年の時点でブロードバンド固定アクセス市場の規制を撤廃する案を欧州委員会に提出している。欧州委員会は当初、オーストリア案に懸念を表したものの、最終的には受け入れた。以来、オーストリアでは住宅向けブロードバンド市場の規制は撤廃されている。

固定ネットワークだけが規制の対象

 このオーストリアを除く、ほぼすべての国において規制当局は固定とモバイルのアクセス市場を区別して、固定ネットワークだけを規制の対象としている。実際、大手の既存事業者が伝統的に非対称規制を受けている。それは加入者回線という巨大なインフラを1社が独占しているため、この設備を巡っては競争が起こらないからだ。一方、モバイルのアクセス市場は基本的に非規制である(着信接続料の規制を除く)。アクセスを提供する事業者が複数存在し、互いに競争するためである。

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