この4月に発生した熊本県および大分県を震源とする地震は通信インフラにも甚大な被害をもたらした。携帯電話各社は復旧に向けて様々な対策を打った。ただし被害状況は各社によって差があり、用いた代替手段や発表のスタンスは異なるものとなった。

 2016年4月14日に第1の揺れが観測された熊本県・大分県を震源とする一連の地震 (以下、平成28年熊本地震 ※注)は、最大震度7の揺れが2回発生するという観測史上初めてのケースで、余震や阿蘇山の状況も含め、今なお予断を許さない状況が続いている。

 災害復興に当たっては生命・安全の確保が最優先だが、そのためには交通・物流・通信などのインフラを一刻も早く復旧させることが重要だ。2011年の東日本大震災からの復興で得た知見や、制度化したものが役に立っているケースも見受けられる。

 今回は、インフラの一つとして移動体通信に注目し、NTTドコモ、KDDI(au)、ソフトバンク、ワイモバイル、UQコミュニケーションズの携帯電話各社が平成28年熊本地震で受けた被害、およびそこからの復旧についてまとめる。

ネットワークの被害と復旧状況

 携帯電話各社のネットワークは、揺れが激しかった熊本県および大分県の一部地域でダメージを受け、携帯電話が利用できない/しにくい状況が発生した(表1)。震災初期である4月16日の被災基地局数は携帯電話各社で大きなバラツキがあるが、もともとの基地局数が携帯電話各社によって異なるため、この数値だけで携帯電話各社の基地局が災害に対して強靱か脆弱かを判断するのは適切ではない。

表1●携帯電話事業者各社の基地局被害状況(各日時時点)
出典:総務省および内閣府による被害状況発表を基に筆者作成。エリア復旧日時は携帯電話事業者各社の発表による
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 しかし、基地局が被災した原因を詳しく見ると、携帯電話各社の間の差異がはっきりと見えてくる。携帯電話各社が原因を分析して報告できるようになった4月18日(表1の上から2行目)時点における総務省発表では、携帯電話各社の基地局被災の原因が発表されている。

 それによると、NTTドコモとKDDIは主に停電で基地局が停止してしまったのに対し、ソフトバンクは途中の伝送路の断線によって基地局が機能しなくなったというケースが多いことがはっきりと分かる(表2)。伝送路断の頻発に対しては、平時における災害対策の強化を望むものだが、ソフトバンクはその後急ピッチで基地局の復旧を進めたもようである。その点は評価に値するだろう。

表2●各携帯電話事業者の基地局被災原因(2016年4月18日 18:00時点)
出典:総務省 平成28年熊本地震による被害状況等について(第30報)4/18 18:00現在
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※注:気象庁は第1の揺れが発生した翌日の2016年4月15日、一連の地震を「平成28年(2016年)熊本地震」と命名した。

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