相手に質問をして、必要な情報を聞き出す。「ヒアリング」は、業務のあらゆるシーンで重要になります。顧客が抱えている課題を把握し、効果的な解決策を提案する。顧客企業の組織や業務を正しく理解し、適切なシステム要件を定義する。いずれの場面でも、ヒアリングがカギを握ります。

 ヒアリングを上手に進めるには、多面的な準備やスキルが不可欠です。何をどこまで聞くべきかをあらかじめ整理する、聞き出した内容を可視化して分析するといった作業が必要になるほか、相手が答えやすくなる質問の仕方や、相手の回答から本質的な部分を見つける洞察力などが求められます。

 これらを総合的に身に付けるのは一朝一夕ではできませんが、中にはちょっとした工夫でヒアリングを上手に進められるテクニックもあります。「ヒアリングスキル養成講座」の講師を務める吉岡英幸氏(ナレッジサイン代表取締役)が、そんな三つのテクニックを紹介します。

 ヒアリングでは「何を聞くか」(What)と、「どう聞くか」(How)の二つの要素が重要です。「何を聞くか」については、ヒアリングの目的に沿って、ヒアリング項目表などを準備している方も多いでしょう。ただ、「どう聞くか」について工夫をしている方はどれだけいるでしょうか。

 「何を聞くか」は聞き手目線で考えますが、「どう聞くか」は、話し手目線で考えなければなりません。話し手目線に立ったとき、どのように聞くと答えやすいのか。それをしっかりと考える必要があります。

 「答えやすい」は、「イメージがしやすい」と言い換えることもできます。聞き手の質問によってイマジネーションが広がる、シーンが具体的に目に浮かぶ、過去のエピソードがふっとよみがえる。そんなイメージがしやすい質問のテクニックをお教えします。

【テクニック1】“感情ワード”を使う

 「うれしい」「困った」「我慢ならない」。感情を表すこんなキーワードを質問に盛り込むとことで、相手が漠然と感じていた課題を、より具体的に引き出しやすくなります。

 具体例で見てみましょう。あるシステム刷新プロジェクトについて、ITベンダーが顧客にヒアリングするシーンを想定します。ありがちなのが、以下のような質問です。

「今回の販売管理システム刷新の目的は何ですか?」

 もちろんこれでも、「使い勝手の向上」などの答えが得られるでしょう。ただ、使い勝手が悪いとは一体どんなものなのか、使い勝手の悪さで最も影響を受けているのは社内のどの部門なのか、といったことはあいまいなままです。

 代わりに、感情ワードを用いて質問してみましょう。例えば、次のような具合です。

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