政府は2018年1月に決定した「デジタル・ガバメント実行計画」の中で、民間クラウドサービスの利用促進の方針を掲げた。すでに米国の政府機関で活用が広がっている米アマゾン ウェブ サービス(AWS)のクラウドサービスについて、アジア太平洋地域の公共部門を統括するピーター・ムーア氏に、海外や日本の政府機関の利用状況や見通しを聞いた。

(聞き手は井出 一仁=日経BPガバメントテクノロジー)

米国のAWSでは、政府機関向けの専用設備「GovCloud」リージョンを運用するなど、公共分野でのニーズに強くコミットしています。世界規模で見ても政府機関でのAWS利用は拡大しているのでしょうか。

ムーア氏 2017年時点では全世界で2300以上の政府機関がAWSを利用しています。ただ、国ごとの業種別の内訳などは公表していません。日本の政府機関については、AWSの利用はまだ始まったばかりという状況です。

 米国のGovCloudは、その名称から政府機関しか使えないように思われることもありますが、実態は異なります。GovCloudは、米政府が定める国際武器取引規則「ITAR(International Traffic in Arms Regulations)」の規制対象となる組織のためのリージョンです。政府機関以外にも同規則に対応しなければならない組織が使用しています。

 もう一つ誤解されやすいのは、米国の政府機関は、GovCloudを使うのはもちろんなのですが、商用の通常のリージョンも利用している点です。GovCloudだけを使っているわけではありません。また、米国以外の国の政府機関が利用しているのも通常の商用リージョンであり、それで十分だと考えています。

GovCloudは、商用リージョンよりもセキュリティを特別に強化した設備というわけではないのですね。

ムーア氏 商用リージョンだと政府機関が使うのにセキュリティが十分ではないからGovCloudを整備したということでは決してありません。

 商用クラウドとGovCloudの大きな違いは、誰がアクセスできるかです。GovCloudにアクセスできるのは米国民に限られます。一方、AWSの通常のリージョンは、米国内にあっても国内外のどこからでも誰でもアクセスできます。ITARの規制に合わせて、米国民だけがアクセスできる特別なリージョンとして整備したのがGovCloudです。

 米国政府は武器の輸出入を厳格にコントロールするためにITARを整備し、その要件を満たせる専用のリージョンの整備に投資を惜しまないという意向でした。そこで、顧客である政府の特定のニーズを満たすために整備したのがGovCloudということです。

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