各地で自動車の自動運転の実証実験が始まっている。また自動車産業の周辺では「2025年までにはロボタクシーが走る」「トラックが深夜の高速道路を自動で走る」といった未来予測が盛んだ。自動運転の技術の進歩は著しく、ほぼ完成している。あとは路上での安全性の検証、法規制の整備、そして経済性の見通しが立つのを待つばかりだ。

各国で異なるニーズ

 自動運転は確かに便利だが、実用のニーズには地域差があるようだ。米国人はマイカーの代替である。なぜならマイカー通勤が普通で、しかも運転時間が長い。一人で割合長い距離を走るから自動になると助かる。マイカーだから4人乗り以下の小さい車のニーズが強い。

 欧州人はエコロジー思想の影響もあり、都市からマイカーを減らしたいと考える。エコの視点からマイカーの台数を減らし、公共交通に変えていきたい。その切り札としてカーシェアリング、自動運転、そしてMaaS(モビリティ・アズ・ア・サービス)の3つがセットで期待を集める。

 MaaSが実現すると、例えば月額5000円ほどで地下鉄、トラム、バス、シェアバイクが乗り放題になり、さらにそこに家までの足のラストマイルの手段としてカーシェアなどが付いてくれば、マイカーを持つより安上がりだ。現状ではラストマイルで公共交通機関は使えない。マイカーがないとタクシーでは高過ぎる。歩くか自転車かカーシェア(数人から10人程度)となる。しかしカーシェアに運転手を使っていては割高に過ぎる。そこで自動運転が期待を集める。

日本では運転手不足の切り札

 日本はどうか。米国ほどマイカー通勤はしないし、脱マイカー思想も欧州ほど強くない。日本ではおそらく営業用の車の運転手不足への対策として自動運転が期待されるのではないか。典型的には、高速道路を走るバスやトラック、そしてタクシーなどだ。

 現在は運送事業者のコストの半分近くが人件費だ。自動運転になると人件費が激減するので、乗客が少なくてもバス路線を維持できたり、稼働率の低い過疎地でもタクシーが成り立ったりする可能性が出てくる。さらに今まで足がなかったラストマイルの手段として自動運転でオンデマンド型サービスが成り立つと、高齢化社会に対する処方箋となりうる。

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