前回に引き続き、私が2018年3月末まで務めた都政改革本部特別顧問として手掛けたことを総括したい。前回同様に、客観性を確保するため、知人との問答を要約した形でまとめた。

問7:美術館などの文化施設や公園のサービス改善など住民向けの改善活動はどう進めたのか?

【回答】
 美術館などは監理団体の東京都歴史文化財団が指定管理者となっています。そこの学芸員は優秀で、展示の中身も高く評価されています。しかし都からの出向職員が担う建物の管理や来館者サービスは、いまひとつです。

 ハコモノの管理や来館者サービスは、百貨店やイベント会社に再委託すべきです。専門性のない都庁職員が副館長などに出向する慣行も廃止すべきです。理想的には財団形式をやめて、企画と学芸部門は独立法人化し、サービスや管理はノウハウがある民間企業に任せたらよい。仮に財団が全部を担当し続けるなら、ハコモノ管理については民間からプロの人材を雇ってくるべきです。そしてその人の下でプロパー職員を育てるべきです。

 役所の改革はまずは美術館や公園などサービス系の分野から取り組むのがよい。利用者の反応が得られ、励みになります。

 しかしこれまでの都庁は住民ニーズに向き合うよりも議員の顔色を気にしがちでした。何をやる前にも必ず「一部の議員が何か言ってくるかもしれない」と気をもみます。過去の知事の力が弱すぎたのか、組織が巨大すぎて都民の声が直接聞けないからかわかりませんが、もっとプロとしての自信をもって仕事をしてほしい。

 そのためには、ヒアリングやアンケート調査で普通の都民の反応を直接自ら取りに行くことが大切です。それをしておけば、一部の議員の思い付きのような発言に右往左往することもなくなるでしょう。

問8:約2年間の改革を経て、都庁の印象は変わったか?

【回答】
 知事選挙の直後からオリンピック予算や築地市場移転の見直しにかけての頃は、職員の間に抵抗と戸惑いがありました。しかし都政改革本部が機能し始めるにつれ、改革の狙いを理解し、変えることに対して納得する人が増えました。

 利用者の生の声やデータを集め、それを公開する。そこから改革の方法を考えるというやり方にも、だいぶ慣れていただいたと思います。事業分析の対象になった部局のほかにも、監理団体や局のヒアリングを行う中で、「世の中の常識はこうではない」「数字を基に費用対効果を見直す」ということを相当、考えてもらうようになったと思います。

問9:都庁や議会からの反発もあったか?

【回答】
 東京都に限らず、企業でも役所でも改革というものは、全員がすぐ同意するものではありません。反発はあって当然です。何の反発もなければあまり意味のない改革とすら言ってよいでしょう。

 とにかく当初はいろいろな混乱がありました。我々も、わかっていてあえてかき回したことがあります。私は改革へのエネルギーの源泉は、共感でも怒りでもいいと割り切っています。過去よりも今後に向けた中長期の動きが大事です。今回の都政改革では、全体として次第に「新しい考え方に変えなくてはいけない」という気運が醸成できました。

 ちなみに特別顧問への反発だの支持だのなんて、どうでもいいんです。我々は所詮、組織の構成員ではありません。職員や知事には寄り添うけれど、改革の触媒役です。だからあちらから見たら使い捨てでいいんです。その役割は十分に果たせたし、今の都庁はいい方向に反応しつつあるのではないでしょうか。

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