前回は過去10年強の改革で大阪の社会と経済の各種指標が大幅に改善したこと、そして背景には2008年以来の大阪府・大阪市の「維新改革」があると指摘した。今回は大規模かつ徹底した改革を10年以上も持続できるメカニズムを考える。

地方自治史上、最大スケールの改革

 大阪の維新改革は“行政改革”の域をはるかに超えた都市改造の運動である。具体的には次の5点で他の自治体を大きく凌駕(りょうが)する。

 第1に役所のスリム化(「予算や組織の削減」)にとどまらず、当初からメリハリをつけた積極投資(特に交通インフラ、教育・現役世代支援)をしてきた。

 第2に長期にわたり、とめどなく行政の全領域で抜本改革を続けている(地下鉄民営化や相対評価人事制度の導入から公園・動物園のサービス改革などきめの細かなものまで)。

 第3に「都構想」をテコに自治体側の発案で地方自治制度(政令指定都市制度など)の改革に挑んでいる。

 第4に大阪府議会、大阪市議会で地域政党「大阪維新の会」が最大会派として両首長を支え、しかも同会は国政にも進出している。そして改革の現場経験を基に国に対して各種制度(特に教育・生活保護等)の改革を迫っている。

 第5に改革の触媒として随所に外部人材を活用する。例えば市営地下鉄・バスの民営化に先立ち、私鉄から交通局長を登用した。一部の部局長や区長にも公募で民間出身者を数多く採用した。さらに経営コンサルタントや会計士、弁護士、研究者など民間企業と研鑽してきた各種プロフェッショナルを特別顧問や特別参与として使った。

 知事、市長、地元議会、国会議員がそろって国に対し、全国一律かつ時代遅れの各種政策の見直しを迫った。その結果、政令指定都市制度を見直す法律改正を実現し、「都構想」の住民投票(15年5月)にこぎ着けた(さらに2019年中に2度目の住民投票が行われる可能性がある)。これらを総合すると「維新改革」は、もはや自治体改革の域を超えた地域再生運動、いや「革命」とすら言ってよいかもしれない。

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