Facebook傘下のVR(virtual reality、仮想現実)企業Oculus VRは先ごろ、中国のスマートフォン大手Xiaomi(小米科技)と提携し、同国市場限定のVRヘッドセットを発売すると発表した。

 中国で展開するのは「Mi VR Standalon」と呼ぶ製品。パソコンやスマートフォンなどの機器を利用することなく、単体でVRを体験できるスタンドアロン型のヘッドセットだ。今回の発表に先立つ2017年10月、Oculus VRは「Oculus Go」と呼ぶ、同じくスタンドアロン型ヘッドセットを市場投入すると発表している。同社は2018年初頭にも、米国など中国以外の市場で発売する予定だ。そして中国で展開するMi VR Standalonは、このOculus Goの技術を利用する。

 この話題を伝えた米Wall Street Journalの記事によると、Mi VR StandalonはXiaomiが主体となって販売するが、製品にはOculus VRのロゴも付けられる。また、Oculus VRとXiaomiはOculus Goの生産でも協力関係にあることが、今回の発表で明らかになった。

 これによりFacebookは、長らくそのサービスが遮断されている中国で、事業展開の足掛かりを得たのかもしれない。しかし、同社のソーシャルメディアは一向にサービス再開のめどが立たない状況でもある。

 中国政府は、政府に批判的なネット上の言論に対する規制を強めている。この規制の下、Facebookの主力事業である同名のサービスは同国で2009年から遮断されている。同社傘下には写真共有サービスの「Instagram」もあるが、こちらも2014年に香港で起きた反政府デモ(いわゆる雨傘運動)の際に遮断された。同社にはメッセージアプリ「WhatsApp」もある。しかしこれも2017年7月に一時的に遮断され、同年10月には全面遮断されたと伝えられた。

中国戦略が大きく後退

 こうした中、同社のMark Zuckerberg最高経営責任者(CEO)は様々な対中外交を進め、同国政府との関係構築に努めている。しかし、このほど米New York Times米Wall Street Journalなどの米メディアが伝えたところによると、同社の中国戦略は依然として前途多難だ。

 報道によると、Facebookでは2017年12月、中国政府首脳とのパイプ役を務めてきた王黎(Wang-Li Moser)氏という人物が辞任した。同氏は米半導体大手Intelの出身。Intelの中国事業在籍中は政府高官との会談調整役を務め、25億ドル規模の工場建設に尽力したことで知られるという。Facebookへの移籍後はZuckerberg CEOの対中外交戦略を手助けしていた。

 例えばZuckerberg CEOは2014年、当時の中国インターネット規制当局トップだった魯煒氏を同社本社に招いて会談を行ったが、このとき王氏も同席した。またZuckerberg CEOは2016年に北京を訪れ、魯煒氏や、当時の共産党政治局常務委員だった劉雲山氏とも会談したが、このときも王氏が同席した。

 Facebookの中国戦略については、社内に中国を対象にしたガバメント・リレーションズ(中国の政府高官などと関係を築く)部門があることが知られている。2017年、この部門に米LinkedInの中国事業を担当していたWilliam Shuai氏という人物を雇い入れたと報じられた。Wall Street Journalによると、Shuai氏をLinkedInから引き抜いたのは王氏だった。同氏が辞任した後、当面の後任に就くのはShuai氏だと事情に詳しい関係者は話している。

 ただ、王氏は政府首脳らとの直接対話の関係構築に尽力してきた重要な人物。Facebookの対中外交戦略はここに来て大きく後退したようだと、米メディアは伝えている。

 前述したように、Facebookのサービスが近く中国で再開される可能性は極めて低い。たとえ再開できたとしても、同国ではすでに地場のサービスが市場を支配しており、Facebookなどの外国企業がシェアを伸ばせる可能性は低いと見られている。

中国における米中インターネットサービス企業の市場シェアと利用者数
(インフォグラフィックス出典:ドイツStatista
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